食品・飲料、コロナ影響下での意外な「売れ筋」 乳製品やアルコール類が打撃を受ける一方で

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だが、カクヤスで需要が急増している商品もある。同社は米などの食品も配達を手がけており、2月の家庭用の米の配送依頼が前年比で3割増となった。2月29日と3月1日の週末は、「通常の営業日の5倍の量が売れた。生活防衛意識が高まっているのか、普段にはない異例の動き」(広報担当者)という。チラシなどを活用して、食品も扱っていることをこれまで以上にアピールするという。

酒造大手のオエノンホールディングスにも、意外な需要が発生している。宴会自粛やホテル利用者数の減少を受け、アルコール飲料の販売数量が落ち込んでいる。一方で引き合いが強いのが工業用アルコールだ。

オエノンは傘下に工業用アルコールを生産する合同酒精を擁しており、グループ全体の売上高の約1割を占める。工業用アルコールは、消毒用アルコールなどにも用いられる。

【2020年3月6日9時35分追記】初出時、工業用アルコールの用途での記載に誤りがあったため、上記のように修正しました。

それでも十分に出回っていない

工業用アルコールの1月、2月の販売量は前年比で約2倍に膨らんだ。オエノンの広報担当者は「消毒用アルコールに使う製剤会社からの引き合いが多い」と話す。

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

原料の製造能力には、まだ充分な余力がある。オエノンでは他社からの引き合い増を視野に、昨年10月に静岡県清水にアルコール蒸留設備を新設し、生産能力を2倍超に増強したばかり。

ただ、「輸送に使うタンクローリーや商品容器が不足しているのでは」(広報担当者)と、消毒用アルコールが十分に市場に出回らない状況を歯がゆい思いで見つめる。

新型コロナウイルスの拡大による食品事業者への影響はさまざま。コロナ問題が収束する時期が見えないだけに、全体にどの程度影響を与えるかは、予断を許さない状況だ。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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