一方で、新型コロナウイルスの影響で、需要が急増している商品もある。乳酸菌入り食品の売れ行きは好調だ。
明治ホールディングスの主力商品である乳酸菌飲料「R-1」は、販売数の漸減が続いていたが、2020年1月後半から販売数が急増し、2月単月では前年比で10%超となった。明治ホールディングスの広報担当者は「各メディアやネットで、免疫力向上アイテムとして取り上げられたことが需要増に繋がった」と語る。
森永乳業も、乳酸菌ブランド「シールド乳酸菌」の販売が伸びている。雪印メグミルクでも2月のドリンク、ヨーグルトの販売は、ともに前年比を超える売れ行きだった。
国内で販売数量が漸減していたヤクルトも、2月単月で前年を上回った。ただ、ヤクルトは海外のうち最も構成比の高い中国で売り上げが低下。中国の2月販売数量は、前年比で約1割減少した。
アルコール飲料は飲食店も小売店も苦戦
牛乳と同じく需要が急減したのはアルコール飲料だ。アサヒグループホールディングスやキリンホールディングスなど大手飲料メーカーは2月後半以降、飲食店向けアルコールの売れ行きが低迷しているようだ。
【2020年3月6日9時35分追記】初出時、アサヒグループホールディングスの社名に誤りがあったため、修正しました。
状況は小売店も同じだ。2019年12月に上場した都内を中心にアルコール飲料などを配達するカクヤスは、売り上げの約7割が飲食店向けで、3割が家庭向け。今回、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、飲食店でのキャンセル増加が販売を押し下げているという。
政府が2月26日にイベント中止などを呼びかけるまではアルコール需要があったため、販売面への影響はなかった。だが2月下旬から、大口顧客である大手居酒屋チェーンで団体客のキャンセルが相次いだ。
カクヤスは歓送迎会や花見のシーズンである3月が年末に次ぐかき入れ時だが、東京都が花見シーズンの宴会自粛を呼びかけたこともあり、この時期の需要が落ち込む懸念がある。「『花見をしよう』と言い出しにくい雰囲気になってきた。家でお酒を飲む人は増えているが、大勢で飲む時と比べれば消費量がどうしても減る」(カクヤス広報担当者)。
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