臨時休校でも「国際学校」がビクともしない理由 「リモート学習」を公立校も取り入れるべきだ

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そもそも、こうしたリモートラーニングが可能になる背景には、インターナショナルスクールの現場での徹底したICT導入がある。子どもたちは1人1台パソコンやタブレットがあてがわれており、幼稚園の頃から、クラスの中や家でオンライン上で課題や宿題を行い、提出することに慣れている。

翔くんは普段自分のPCを使っているが、今回は別途、いつも学校で使っているノートパソコンも渡された。春休みまでの3週間、オンラインでの授業が続けられる予定だ。都内のあるインターナショナルスクールの教師は、「普段からつねにテクノロジーを使う環境にあるために、こうした状況にもすぐに移行できる。もちろん、リアルの授業にまったく遜色がない成果が上げられるとは言えないが、一定の効果はある」と語る。

こうしたオンラインによる教育は海外では幼少期からごく当たり前に行われている。香港の学校では、コロナウイルスの影響で、1月下旬以降休校が続いており、子どもたちはオンラインで毎日、授業を受けているという。

日本でも、静岡市の静岡聖光学院中高で2日から、インターネットを使ったオンライン授業が始まっている。教師が作成した動画で問題の解き方などを解説し、生徒がタブレット端末などで視聴し、課題に取り組み、レポートを提出するという格好だ。

また、多くのエデュケーションテクノロジー(エドテック)企業が児童や生徒が活用できるように、アプリやソフト、コンテンツを無料開放している。しかし、強制力がなく、やる気がある子以外はその恩恵に預かることは難しい。勉強をさせたくても、ただだらだらとさぼっている子どもたちをもいて、イライラを募らせる保護者は少なくないはずだ。

世界に後れを取る日本のICT教育

日本で現在、ICTを活用したリモートラーニングの仕組みが整っている学校はごく少数。インフラや教師のリテラシーの欠如、Wi-Fi環境やPCがない家庭があるといった事情もあり、日本の教育現場のICT度は著しく低い。現在、小中学校に在籍する児童・生徒5.4人に1台の普及率にとどまっており、経済協力開発機構(OECD)が実施した各国の教育へのICT活用環境調査によると、日本の順位は48カ国・地域中で下から2番目という低さだ。

こうした事態を踏まえ、政府は昨年12月に、教育用ICT(情報通信技術)環境の整備拡充などを盛り込んだ総合経済対策を閣議決定し、4000億円を投じて、小中学校の生徒に1人1台のPC導入を目指す、と発表した。

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しかし、教師の負担が増える、システム管理に手間がかかる、PCはすぐ型落ちするなどと不満の声も少なくない。大手全国紙が「子どもがPCに向き合う時間が増えるほど、先生との対話や、授業のポイントをノートに自分の手で書く時間は減る恐れがある。早い時期から、PCでドリルの反復練習をしていると、長い文章をじっくり読んで意味を考えることがおろそかになりかねない。PC学習では読解力は身に付かないと指摘する専門家もいる」などと、その政策に異議を唱え、時代錯誤な社説を展開するような始末である。

生徒はただひたすらに、教師のつまらない話を聞き、紙に書きとり、教科書や参考書の内容を暗記することが教育、という考え方なのか、竹やりで戦えと言っているかのような古臭さだ。

教育現場では、いまだに給食の費用を封筒に現金を入れて回収しているところもある。学校と保護者、生徒との連絡が口頭やプリントが主であり、メールでの連絡も限定的、保護者会のお知らせがいまだに紙で配られ、その出欠もハンコを押して、紙で返すといったレベルだ。

教師のオーバーワークが問題となっているが、ICTの活用によって、多くの実務が軽減されるはずである。今後、こうした形で多くの子どもたちの教育の機会が失われないためにも、教育現場のICT導入は可及的速やかに進められるべき最重要施策ではないだろうか。

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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