各国中銀の政策協調もドル安円高は止められず 順当にバトンをつないだが効果は限られる

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一方、2月28日にはFRBが「We will use our tools and act as appropriate to support the economy」(政策手段を使って経済を支えるために適切な行動をとる)との声明を出した。この声明からは「経済を支えるための金融緩和(≒利下げ)」への意欲が透けて見えるのに対し、日銀の総裁談話が示す「次の一手」はあくまで流動性供給という差異が見て取れる。もっとも、25ベーシスポイント(0.25%ポイント)ずつとして、まだ7回の利下げが可能なFRBともはや政策金利が下限に達した疑いのある日銀ではこうした差異は自然である。

緊急声明後で3月17~18日のFOMCに関しマイナス25ベーシスポイントの利下げは既定路線であり、焦点はそれがマイナス50ベーシスポイントになりうるかどうかとなっている。仮に50となれば、昨年7月以降、6回の会合で5回分(25ベーシスポイント×5=125ベーシスポイント)の利下げに踏み切ったことになり、もはや昨年からうたわれていた利下げにまつわる「予防」の大義は忘却の彼方だろう。

協調利下げはもとより無理な話

また、ECBは「We stand ready to take appropriate and targeted measures, as necessary and commensurate with the underlying risks」(必要に応じて、潜在的なリスクに見合った適切かつ的を絞った措置を講じる用意がある)との声明文を発表し、利下げや流動性供給を含めた多様な手段の可能性を示唆している。

日銀同様、ECBも追加利下げはハードルが高いため、昨年11月に再稼動したばかりの拡大資産購入プログラム(APP)の量(月200億ユーロ)を増やしたり、ターゲット型長期流動性供給第3弾(TLTRO3)の利用基準を緩めたりといった手が考えられる(ドイツの反対は予想される)。

さらに、BOEは「all necessary steps are taken to protect financial and monetary stability」(金融および通貨の安定を守るためにすべての必要な措置が取られている)とシステミックリスクの抑制を全面に出していた印象である。これはどちらかと言えば流動性供給の可能性を感じさせ、日銀と似た印象を受ける。

いずれにせよ、名目金利の操作という点で言えば、欧州や日本はほとんど余地がないことで共通しているため、流動性供給や資産購入の拡大(本質的に両者は一緒の話だが)など、複数手段を組み合わせながら市場期待に対峙するしかないだろう。

そしてG7による共同声明では、協調利下げに踏み込むことはできなかった。既述のとおり、もはや中銀によって政策金利の水準に差が出てきているため、一律に同じ対応を強いるのは酷である。政策金利水準で言えば、アメリカとカナダの1.75%を除けば五十歩百歩というのが現状だ。「協調利下げ」は難しく、資産購入への考え方も異なることから、行動の迅速性を重視するならば「協調して経済を支えます」という今回のような政策姿勢の誇示にとどめるのが妥当な落とし所だろう。

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