六郷さんも苦悩した。板橋区内の他の子ども食堂の開催中止も耳にし、10名ほどのボランティアスタッフたちと話し合いを続けた。
だがそんなある日、スタッフと中止するかどうか相談していると、話し声を聞いた小学5年生の女の子がやってきて、六郷さんに言った。
「やめられたら行くところ無くなっちゃう」
他にも小学生の兄弟で、朝食や前の晩御飯を抜いてきたと話す子もいた。「もし、子ども食堂を休めば餓死する子どもが出るのではないか」。
六郷さんは、「腹を括ろう」と子ども食堂を続けることを決めた。
もちろん、感染防止の対策もしっかりとする。外から入ってきた人の手洗いうがいや、ドアやテーブルなど子どもが触る箇所のアルコール消毒といった基本的なことを徹底している。
文科省「具体的な対策は決まってない」
子ども食堂を中止する団体にも、給食がなくなることを心配して対策を取るところはある。寄付者から集まった野菜やお米などの食材、お菓子を配布したり、調理済みのお弁当を配る宅食で支援を続ける。
民間が子どもの食を守ろうと四苦八苦している中、政府は何か対策を練っているのだろうか。文科省健康教育・食育課に聞いた。
担当者は「休校となった以上、今の学校給食という形式は取れません。今後政府が検討する可能性はありますが、現段階では具体的な対策はまだ決まっていません」と回答した。
2012年にスタートし、子ども食堂の先駆けとなった大田区の「気まぐれ八百屋 だんだん」では、子ども食堂を休む代わりに食材の配布を決めた。代表の近藤博子さんは言う。
「できることはやろうと考えているが、付け焼き刃の支援になっても仕方がない。本来は学校休止を言い出した行政が、こうなることを予想して対応すべきだ」
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