研究者は各種コロナウイルスの遺伝子配列を比較し、それぞれのウイルス間のS、M、N構造蛋白、非構造蛋白ORF1ab蛋白の相似性と遺伝子配列の相似性が一致していることを発見した。また同一亜属内では類似性が高く、異なる亜属間の類似性は比較的低くなっている。
しかし、新型コロナウイルス、RaTG13、 CoVZC45、CoVZXC21の4種類のコロナウイルスのE蛋白の類似性は100%に達しており、新型コロナウイルスとSARSコロナウイルスのE蛋白にはアミノ酸4つ分の違いしかなかった。
ウイルスが流行の過程において外界の圧力に対抗する適応力を生み出すかどうかは、ウイルスの感染力に影響を与える重要な要素となっている。研究者はさらに全ゲノムのデータ選択進化圧力分析を実施した。
その結果、新型コロナウイルスが「浄化選択」(訳注:突然変異を排除するために進化を止める自然選択)を行い、ある部位では突然変異した対立遺伝子が種の生存に対し有害なため、自然進化の過程において淘汰されていることがわかった。
当該研究ではさらに、新型コロナウイルスの高度に保守的な遺伝子内で、高周波の同義置換(訳注:DNAの配列に生じる塩基置換のうち、アミノ酸に変異を生じないもの)が発生しており、この種の置換は非同義置換(訳注:DNAの配列に生じる塩基置換のうち、アミノ酸に変異を生じるもの)の発生数よりもはるかに多いことが発見されている。同義置換はアミノ酸の変異を引き起こすことはないが、非同義置換は変異を引き起こす。
新型コロナはまだ変異を起こしていない
目下、新型コロナウイルスはまだ明らかな変異を起こしていない。呼吸疾病国家重点実験室の副主任・趙金存氏はウイルスの変異に関する研究状況についての説明を行った際、「現在新型コロナウイルスの3万以上の塩基中、突然変異が確認されたのは5つの塩基にとどまり、3万という数字から考えればごく一部を占めるのみである」と表明した。
また中国予防医学会新型コロナウイルス肺炎予防専門家組織は最近、『中華流行病学雑誌』の記事で「ウイルスサンプル間の全長遺伝子配列はほぼ完全に同じで、新型コロナウイルスはまだ明らかな変異を起こしていない」と発表している。
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