臨時休校「一生の思い出」奪われた子たちの本音 卒業は人生の節目、なおざりにしてはいけない

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

何よりもあまりに唐突で準備期間もほとんどなく、年度最後の3月の授業をすっ飛ばしてしまう臨時休校が始まったことで懸念されるのは、小学6年生、中学3年生、高校3年生の「卒業」という人生の節目が中途半端になりかねないことだ。特に心が成熟してから仲間との別れを初めて経験する小学校の卒業式は、人生において一生の思い出に残る節目の1つである。

政府は臨時休校を求めるにあたり、入試や卒業式を実施する場合は感染防止など万全の対応を取るよう求めている。安倍首相は2月29日(土)の記者会見で「子どもたちにとって3月は学年の最後、卒業前、進学前の大切な時期。学年をともに過ごしたともだちとの思い出をつくるこの時期に学校を休む措置を講じるのは断腸の思いです。卒業式は必要最小限の人数に絞って実施していただきたいと考えています」と話した。

ただ、一部の大学も含めて、早々と卒業式の中止を決めてしまった自治体や学校も少なくない。開かれるとしても、保護者や在校生の参加を自粛するなどの規模を縮小した格好で行われることになる可能性が高い。

当の子どもたちはこんな風に思っている

これに対して当の子どもたちはどう思っているのか。筆者が複数の子どもたちから聞いた率直な声は以下のようなものだ。

「卒業文集を書き終えて、卒業式の台本も配られていたのにやらなくなって悔しい。卒業式は保護者抜きで簡単に短縮してやる方向だけど、練習してきたのに掛け合いや歌はナシ。みんなと本当にバラバラになってしまう。いきなり断ち切られてしまった」(小学6年生男子)
「6年生を送る準備に備えてずっと取り組んできたものを披露できなくて残念。受験を控えているので学習面で不安があるし、6年生とはお別れの実感がわかない」(小学校5年生女子)
「最後の1カ月が、コロナによって潰された。コロナが憎い。せっかく6年やってきた最後の1カ月は、思い出を作るうえで重要なので、とにかく悲しい。卒業の会は笑顔でがんばる」(小学6年生男子)。
「(卒業式の中止がすでに決まり)学校は好きじゃなかったから卒業式がなくなるのはいいけど、一生の思い出が1つ失ったと思うと悔しい。準備の期間、心の準備が欲しかった」(高校3年生女子)

2月28日(金)朝、突如「ランドセルを背負える最後の日」が訪れた小学6年生の子どもを持つ母親による、わが子の“最後のランドセル姿”を写真に収めたSNS投稿も多く見られた。

次ページ親も「心の準備が欲しかった」
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事