優秀な人の「あえて答えを言わない」超会話術 指示待ち部下は上司が作っているという事実

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指示待ち人間に囲まれているほうは、総じて優しく、気配りのできる方が多いようです。また失敗を避けたい、完璧にこなしたいという気持ちが強い方もいます。そのため、部下がミスをしないように「答えを教えすぎている」傾向があるのです。そのほうがミスもなく、仕事が早く終わることが多いのも事実。しかし、それでは部下は育ちません。

例えば部下に任せたイベントのポスター。背景の色は「明るい青」とイメージを伝えていたのに、上がってきた見本の背景色は、「緑」です。そんなときに一言「背景は青という話だったから、このスカイブルーに変えて」と色の見本を差し出す。確かにこれでこの仕事は終わります。しかし、このような対応では部下は自分で考えることができません。

では、こんなとき、相手を育てながら仕事をうまく進めるにはどうしたらいいのでしょうか? それは「相手に気づかせる」会話をすることです。指示を出したり、アドバイスするのではなく、相手が自分で気づいた、という状況を作ることが大切なのです。

具体的に会話で見てみる

あなた:「なかなかいいポスターだね。ありがとう。今回の背景は緑か。どうして緑にしたんだっけ?」

(※本当は「明るい青」ということに気づかせようとする)

相手:「青系にというお話でしたので……」

あなた:「なるほど。もしこれとは違う青系にするとしたら、どんな色がいいかな?」

(※相手に気づかせる)

相手:「この紺色もいいかな、と思います」

あなた:「ほかに、タイトルの黒い文字が引き立つような候補はあるかな?」

(※相手が検討違いの答えを言っても否定しない。気づくまで質問を続ける)

相手:「こちらの明るい青だと、タイトルの文字が目立つかもしれません」

あなた:「うん。確かに、この明るい青もよさそうだね! じゃあその方向でやってもらえるかな」

相手:「はい!」

このように、相手の意見を否定せず、正しい答えに気づかせる会話は手間も時間もかかります。しかし、このような会話を繰り返すことで、部下は自分で考え、仕事ができるようになります。

このような「相手に気づかせる」会話で部下が手に入れるものがあります。それは「自分で考えて行動する」という習慣、そして何より大切な「自己重要感」です。自分の意見が尊重される、自分は大切にされていると感じることができれば、人はやる気がでてきます。

あなたも与えられた仕事より、自ら取り組むと決めた仕事のほうが、頑張れるはずです。相手に自己重要感を感じさせる会話ができれば、あなたの周りの人は自律的に動いてくれるようになるのです。

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