会社に評価されないと嘆く人に欠けている視点 「自分が戦える場所」をきちんと探せているか

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ですから、例えば今業界ではどういったスキルが求められており、その中で自分の経験やスキルはどの程度で「売れるのか」という視点を常に持っていることが非常に大切です。

そういった視点を持つための方法はいくつもあり、詳細は拙著『下剋上転職』などをご参照いただきたいのですが、例えば定期的に転職エージェントと意見交換をして、労働市場のリサーチをするとともに、自分の売りは何か、自分に足りないのは何か、を判断する材料とする、というのもアリです。

その際はもちろん複数のエージェントと付き合い、客観的な視点を養うことが重要ですし、その中で特に信頼できる方と重点的にディスカッションするのがよいでしょう。

実際に私自身も若い頃はそのようにして、労働市場のトレンドや市場における一労働者としての自分の立ち位置の確認などを定期的に行っていました。

こういった事例はまさにおっしゃっている「相談できるサービス」という枠にも当てはまると思いますので、ぜひ活用されることを勧めます。

転職とは冒険であってはいけない

いずれにしても、転職を成功させるためにはその場しのぎではなく、「計画された転職」であることが大切ですから、日々現在の仕事だけに注力するのではなく、そういったリサーチ活動に基づき「自分が戦える場所」を探すことが大切です。

そういったリサーチ活動を通じて、ご自身の経験やスキルで使えるものは何か、そして足りないところはどこか、が見えてきます。

そういった自分自身の職業人生を棚卸しすることで進むべき道も見えてくるでしょうし、少なくともそういった計画された行動であれば、行き当たりばったりの転職にはならないはずです。

転職とは冒険であってはいけません。

冒険する転職は失敗に終わります。

特にK田さんのご年齢を考えると必要なのは冒険ではなく、過去からの継続性に基づいた慎重な行動です。

「評価してもらえる会社の役に立ちたい」とK田さんはおっしゃっています。

そのためにも、ご自身のどのスキルや経験が評価されうるのか、どんな会社であれば価値を評価してくれるのかの見極めが大切です。まずはそういった前提の棚卸しを通じて、ご自身が勝負できる場所を探してみましょう。

そういった活動を通じて得た知識とそれに基づく計画と行動が、転職に向けた不安を打ち消してくれるはずです。

何事も見えない相手や先が見えない状況は不安なものですから、手探りでもいいのでまずは市場の情報収集とご自身をよく知る活動を通じて、一つひとつ不安を拭い去っていきましょう。

K田さんの転職の成功を祈っております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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