65%超の企業が「影響が出てくる」とみているわけだ。実際に、新型コロナウイルス感染拡大によって、さまざまな分野で影響が出ている。2月24日時点でわかっている影響を紹介すると次のようになる。
●インバウンド……三越伊勢丹では春節にあたる2月4~10日の売り上げが昨年比2割減
●東海道新幹線乗客数……2月1~19日の新幹線乗客数は対前年比で1割減
もともと日本経済は2018年末辺りから、景気が落ち込んでいると言われており、例えば民間設備投資の先行指標である「機械受注統計」では、2019年12月の数字が前月比12.5%と大きく下落した。機械受注は変動幅の大きな統計だが、コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける前に、すでに2ケタの減少になっている。
日本経済が弱含みのときに、この新型コロナウイルスショックに襲われたわけだ。
最低でも3~4カ月間、激しい落ち込みを覚悟すべき
一方、2月20日に発表された「月例経済報告」では、雇用や所得の環境が底堅いとして個人の消費は回復傾向にあり「景気は穏やかに回復している」と景気の見通しを発表している。
西村康稔・経済財政再生相は「能天気に持ち直していると言っているわけではない」と釈明したものの、市場関係者の多くは「能天気でなければうそをついているのでは……」という印象を持ったはずだ。日銀が何もできないために、景気後退を隠蔽しようとしているのではないか、と考える専門家が多い。
このままの状況で行けば、経済的なダメージはSARSなどの例を参考にするのではなく、東日本大震災のケースを参考にしたほうがいいのかもしれない。
例えば、2011年3月11日に発生した東日本大震災直後の総務省統計局の「消費動向」を見ると、全体では約2割の減少となり、東京電力による関東地方を中心とした計画停電時には、教養娯楽費などが瞬間的に6割台にまで減少している。乗用車新規登録・届け出台数なども最大4割近い水準まで落ち込んだ。
つまり、日本で感染爆発が起きた場合には最大で5割前後、消費が落ち込むことを想定しなければならない。ちなみに、東日本大震災では1カ月後には、全体的にみて通常の消費支出に戻っている。しかし、新型コロナウイルスではそうもいかないだろう。最低でも3~4カ月の期間、激しい落ち込みを覚悟する局面もありえる。
世界の動きはどうなるかわからないが、日本の景気後退はかなり大きくなりかねない。
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