早慶女子があえて「一般職」を選ぶ根本理由 出世より大事にしたい「転勤回避・生活優先」

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第1に、これまでの時代は女性活性化の掛け声が強かったが、これがピークに達すると一部の大卒女性は、一心不乱に働いて出世するよりも人生を楽しみたいとする人が増加した。これは女性のみならず男性の中にも増加している。日本人全体で働くことよりも人生を楽しみたいとする人の増加が指摘されている。

これは企業で総合職としてバリバリ働いて出世を目指すよりも、一般職としてそこそこ働くので十分とする人の増加をも意味する。早慶女子、そして東大、京大の一部の女子学生にすら、そういう人の増加があっても不思議はない。

「責任とやりがい」が増した一般職の仕事内容

第2に、補助的・定型的な仕事をしていた一般職が、非正規労働者で代替されつつあるので、一般職の仕事の質が高まりつつある。すなわち、一般職の仕事が従来は総合職の行っていた非定型的な責任を伴う仕事になりつつあり、総合職と一般職の違いが小さくなったのである。

それゆえ、一般職と呼ばれながらもやりがいのある仕事ができるなら、あえて総合職の名前にこだわらなくていい人が増加した。その事実として総合職と今の一般職の間にあった処遇の差が縮まっているとされる。この傾向が続けば、一般職の数が減少して、総合職に統合されるかもしれない。

第3に、その傾向の究極の出来事は、転勤だけを強要しない地域限定総合職の創設である。やや無理な解釈かもしれないが、地域限定〝総合職〟は総合職という名前を残して従業員の自尊心をくすぐり、実態は変わりつつある一般職に近い姿に等しいとの解釈も可能である。

第4に、これは多数存在する現象ではないが、働くことは結婚・出産までのことと考える女性が超難関大学・難関大学にもいるので、あえて進んで一般職を狙うのである。総合職であれば将来の幹部候補生であることが暗黙に了解されているので、結婚・出産後すぐに退職をするかもしれないと思っていれば、一般職でかまわないという気になるのである。

第5に、すでに強調したように総合職は転勤が前提とされている。自己の人生として地域を移ることを好まない女性もいるわけで、転勤のない一般職を当初から志願する女性が超難関大学や難関大学にいても不思議はない。

橘木 俊詔 京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授

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たちばなき としあき / Toshiaki Tachibanaki

1943年生まれ。小樽商科大学卒業、大阪大学大学院修士課程修了、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。大阪大学、京都大学教授、同志社大学特別客員教授を経て、現在、京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授。その間、仏、米、英、独の大学や研究所で研究と教育に携わり、経済企画庁、日本銀行、財務省、経済産業省などの研究所で客員研究員等を兼務。元・日本経済学会会長。専攻は労働経済学、公共経済学。
編著を含めて著書は日本語・英語で100冊以上。日本語・英語・仏語の論文多数。著書に、『格差社会』(岩波新書)、『女女格差』(東洋経済新報社)、『「幸せ」の経済学』(岩波書店)ほか。

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