炸裂する不動産金融「2010年問題」 デフォルト連発のノンリコースローン


収益源なく不動産に回帰する邦銀

だが、そうであっても、不動産金融と市況の本格回復には、なお遠い状況と言えるだろう。現状では地価下落の直撃を受けたのは、70~90%のLTVレンジで融資を行ったメザニンレンダー。邦銀は利ザヤの薄いシニア部分への融資だったため、影響は軽微だった。厚いスプレッドを狙ったリース会社やノンバンクが厳しかったが、今後も地価次第で、邦銀も対岸の火事とは言えぬ状況が待ち受ける。すでに一部邦銀は「デフォルトは、そこそこ発生している。コベナンツには、ほとんどが抵触している」という状況にある。

「2010年問題」はCMBSだけの問題でもない。ダヴィンチのもう一つの旗艦物件である芝パークビル(取得価格1430億円)。証券化はなされない通常のNRLだったが、09年6月に返済期限が到来した。結局、返済はなされず、テール期間に突入している。ダヴィンチだけでも06~07年に取得した国際赤坂ビルや虎ノ門パストラルなどの大型物件のNRLの弁済時期が今後、到来する。

一方で、外資系レンダーが消滅し、CMBS市場も瓦解。リスクの切り出しを行うプレーヤーも市場も不在である以上、NRLの全体の融資量は枠をはめられたも同然だ。経験則やとりうるリスク量から見て、メガバンクが1兆5000億円、信託、大手銀行が5000億~1兆円程度。これが天井と言えるだろう。この限られた範囲の中で、10年以降、CMBS、NRLの弁済期日が次々に到来する。不動産私募ファンドやJ-REIT向けへの資金供給には、おのずと限界が生じよう。

もちろん、一部を除き、邦銀各行もLTV、物件価値などで一線は守っている。冒頭のPCPについて、大手行関係者は「もちろんウチにもリファイナンス要請はあった。しかし、すべてがウチの目線に合わず、丁重にお断りした」「リファイナンスには興味がなかった。むしろ、デフォルト後に物件売却がなされた後の融資には興味がある」と言う。

ならば、その厳格な姿勢こそ、CMBS、NRLのリファイナンス不能、そして物件放出による地価再下落を招くものにつながろう。「2010年問題」が火を噴かぬ保証はどこにもない。

※次ページ以降に「■邦銀のCMBS保有額」「■邦銀のJ−REIT向け投融資残高の動向」「■邦銀各行の不動産業向け貸出金残高の動向」の各表があります。

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