筋肉体操の谷本先生「やり過ぎの運動に潜む罠」 「鍛えれば強くなる」が当てはまらない部位も

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 ジョギングのようなハイインパクト運動は、膝や足首などの関節への負担が大きくなります。ですから、関節への負担を軽減する工夫をしなければいけません。

 まず衝撃を受け止める靴は、底の厚い、衝撃吸収性のよいものを選びましょう。レース用にスピードを追求したシューズなどは軽くてよいのですが、普段使いでは使わないほうが賢明です。

 走る所も、可能であればアスファルトよりも柔らかい、土や芝生の上、もしくはランニングマシン(トレッドミル)を利用します。ランニングマシン上はアスファルトよりもかなり柔らかくできていて関節にやさしい場所です。

 下り坂は飛ばさず、ゆっくり走るようにしましょう。ジグザグ走行をすれば傾斜を緩くすることができます。ただし、車や自転車など周りの交通状況に十分気をつけて。

 なお、自転車や水泳などの運動なら、関節への負担が極めて小さく、ローインパクトな運動になります。ハイインパクトなジョギングだけでなく、別のローインパクトな運動に一部切り替えれば関節の負担をそれだけ減らせます。

 また、痛みがあれば絶対に無理をしない。

 痛みの出ない頻度、強度、量で行う。ジョギングをこれから始めるという人はいきなり長距離を走らずに、短い距離、ゆっくりしたスピードから始めて徐々に関節(だけではありませんが)を慣らしていく、といった気遣いもとても重要です。

膝への負担が小さい「ちょこまか走り」

 関節への負担を減らす、おすすめのランニングフォームを紹介しましょう。

 走り方にもいろいろなスタイルがありますが、ここでは膝などへの負担が小さい「ちょこまか走り」をおすすめします。

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 ちょこまか走りとは、足を遠く前に出さずに自分の近くにつくようにした走り方。ウォーキングの場合は大股で歩くことが推奨されますが、ジョギングでは大股でストライドを延ばすと着地の衝撃が強くなりすぎてしまうのです。

 「カカトから接地」しようとすると自然と足が強く前に出ますので、「足の裏全体で接地」するように意識します。足を大きく出さない分ストライドが減りますので、その分ピッチを上げるようにしましょう。

 実はマラソンの金メダリスト、Qちゃんこと高橋尚子選手も、足をあまり前に振り出さず、足の裏全体で接地するちょこまか走りをしていました。

 慣れるまでは難しいかもしれませんが、膝、足首等への負担が小さく、効率のよさからタイムが上がる可能性もあります。一度試されることをおすすめします。

谷本 道哉 近畿大学准教授

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たにもと みちや / Michiya Tanimoto

近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科准教授。1972年静岡県生まれ。大阪大学工学部卒。パシフィックコンサルタンツ㈱にて道路トンネル設備設計業務に従事後、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。国立健康・栄養研究所特別研究員、順天堂大学博士研究員などを経て現職。専門は筋生理学、身体運動科学。「みんなで筋肉体操」の番組中では「筋肉指導」として、筋トレメニューの作成と指導を担当。

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