人生には2本の川が必要
――波乗り、レース、ゴルフと、仕事が忙しい中で、新しい世界に飛び込むのは抵抗ないのでしょうか?
それは、あえて積極的にやってましたね。僕は20代のころ、作家の夏坂健先生というゴルフを主に書いてらっしゃった先生に師事しておりまして、その先生がエッセイの中でイギリスのある方の言葉を紹介しておられたのです。
「英国紳士の人生には2本の川が流れている。1本は仕事という名のメインリバー、もう1本は趣味の世界のサイドリバー」
その2本の川の幅が同じであればあるほど、男の人生は豊かなのだ、という意味です。それを20代のころに聞いて、とにかく仕事と同じぐらい真剣に打ち込める趣味の世界を持ちたいと思っていました。とはいえ20代でしたから、何がそうなのかはわからないですから、とにかくいろいろなジャンルのことをやっていましたね。
――20代は情報をたくさん集め、とにかくたくさんのことをやっていく時期だと。
その時期だと思いますね。
――多趣味で、遊びも、となると、貯金はどうだったんですか?
貯金は恥ずかしながらゼロでした(笑)。とにかく貯金するよりも、好きなことに使ったほうが、リターンが大きいのかなと思って、貯金はしないまま、バンバンつぎ込んでいましたね。でも、なんとか今まで破綻せずやってこれたので、まあそれはそれでよかったのかな。
30代は仕事をきっちりする年代
――男の20代は幼稚園。とすると、30代以降は何に当たるのですか?
20代が幼稚園ですよね。幼稚園から小学校ぐらいですかね。30代は中学でしょうね。
――「30代の中学生」がすべきことはなんでしょうか?
20代はあまりよけいなことを考えないで、仕事も遊びも一生懸命やればいいのですが、30代はやっぱり仕事をきっちりやっておかないと、ここで差がついてきますよね。30代は仕事のボリュームがドーンと増えてくるから、趣味にかける時間が減っていくので、だんだん趣味の数も、絞られていきますね。3つも4つもやっていたのが、ひとつかふたつになる。でも30代はそれでいいと思います。仕事が楽しくなるし、管理職になって責任も増えていきますから。まぁ、「中学生としてまじめに勉強しなさいよ」(笑)という時期ですかね。
――目の前の仕事に真剣に打ち込むと。
それと、僕の例で言うと、30代のとき、意識的に海外の人とたくさん仕事をするようにしました。海外へ何度も行って仕事をして、主に欧米、ヨーロッパが多かったのですが、向こうの人たちと会って話すことを積極的にやりました。仕事に関してもそうだし、ファッションに関してもそうだし、女性の接し方に関しても、現場でずいぶんグローバルなやり方を学びました。そうやって海外の人たちとしょっちゅう会っていると、それが当たり前になっていくじゃないですか。そういうことも大事だと思います。