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私たちが貨幣に翻弄され「罠に落ちる」根本理由 経済と人間の本質を描ききる「欲望の貨幣論」

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流動性選好(人々はお金を欲望する)によって流通する貨幣量が減ると、経済に大ダメージを与える。これへの処方箋として出てきたのが、“金本位制からの脱却”としての「管理通貨制度」である。

この処方箋はニクソンショックという事実に照らし合わせれば、50年前に出てきた比較的新しいスキームだが、岩井氏はその原型をケインズ(金本位制脱却の代表的な提唱者)と彼よりも前の時代のジョン・ローに見いだしている。

ジョン・ローへの評価が貨幣論、金融論のセンスを分けるといわんばかりの本書の記述は、もちろん一般の読者にもわかりやすく書かれているが、とくに専門家にとって非常に刺激的なものだろう。間違いなく本書の大きな見どころの1つである。

貨幣量の管理は、人々の欲望(自由放任)に任せては不安定になり、ひいては経済が成り立たなくなる。ここでは「神の見えざる手」は存在せず、貨幣量は流動性選好、もっと言えば“人々の欲望”のために、適切に絶妙に供給されなければ経済が回らない。

このような理由で、金本位制からの脱却を評価し、中央銀行の金融政策の必要性を肯定している。

モノの値段が安定する条件

それでもモノの値段は本来的に不安定さを抱えている。その安定性を担保するものは何なのか。

それはある種の“ノイズ”であり、純粋性とは正反対となる“不完全さ”や、ある種の”粘性“といったものだという。ケインズとヴィクセルの名前が出ていることから、おそらく「賃金の下方硬直性」はその1つの例として念頭にあるものと想像する。おそらく経済の専門家であれば、このパートには驚く人もいるかもしれない。このあたりは岩井氏の真骨頂である。

岩井氏によるビットコインへの言及は幅広いが、ここで取り上げるべきは、「数量上限が一定である(増やせない)」という点だろう。これだけではないが、この点を重大だと見てビットコインの通貨としての不可能性を論じている。

仮想通貨に関しては、理論面で長年の考察を行っている岩井氏が奥深い記述をしているので、仮想通貨の運命に興味がある方であれば、ぜひじっくりと読んでみてほしい。

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【バブルをうまく扱えない現在の主流派「新古典派」】

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