新型肺炎を早期警告した武漢の女性医師の告白

もう1人の告発者は警察に口頭注意を受けた

李医師が注意喚起をした同日、2019年12月30日20時48分に、謝医師は働いていた武漢協和医院の腫瘍センターの微信グループにこう投稿した。

2019年12月30日の晩、武漢の謝琳卡医師は職場の微信(ウィーチャット)グループ上で、原因不明の肺炎が発生していることを注意喚起した。このスクリーンショットが外部に転送され、警察から電話で注意を受けた(写真:取材対象者が財新に提供)

「当面、華南海鮮市場に行かないでください。現在、原因不明の肺炎(SARSに似ています)を患う人が多く、今日、私たちの病院ではすでに何例もの華南海鮮市場で感染した肺炎患者を受け入れています。皆さん、マスクを付け、よく換気をしてください」

謝医師は、その情報源を「感染症病院の後輩が同じグループ内で投稿した内容」とした。当時、WeChatには443人が登録されており、謝医師の状況は李文亮医師と似ている。

このメッセージはスクリーンショットされ、広く転送されている。謝医師の名前は隠されていない。すぐに、謝医師を探し出し、何があったのかを尋ねる人が現れた。

謝医師は今年39歳。武漢出身で、博士課程は華中科技大学同済医学院を修了した。

「好大夫」というオンライン医療サイトの紹介文によると、謝医師は2008~2011年、2015年にドイツのウルム大学で腫瘍癌抑制遺伝子の研究に注力し、国家自然科学基金プロジェクトの資金を受け、臨床診療に十数年間従事した。

まさかスクリーンショットされるとは思わなかった

謝医師は財新記者にこう語った。「情報は学生時代の感染科同窓グループから得たもので、後輩が勤務する病院に、同様の症状を示す原因不明の肺炎患者が複数おり、いずれも華南海鮮市場に行った経歴がある」とのことだった。

謝医師は、乳腺腫瘍科の医師だが、大学院では感染病学を専攻していた。しかも、彼女が働いている武漢協和医院の腫瘍センターは、ちょうど華南海鮮市場の近くに位置し、同僚はそのそばに多く住んでおり、腫瘍センターが受け入れている患者の抵抗力は比較的低い。「未然防止策」として、腫瘍センター内のグループで感染を防ぐように皆にアドバイスした。

「まさかスクリーンショットされるとは思いませんでした。次の日に目が覚めたら、ネットで有名になっていました。私は普通の医者で、このような状況は初めてでした。心理的ストレスが大きいです」と謝医師は話す。

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