Facebookを去った「もう1人のザッカーバーグ」 「富や名声」よりも人生で大切なことを考えた

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イギリスのフリーランス支援組織IPSEの調査によれば、フリーランスで働く900人の86パーセントが、同種の仕事をする会社員よりも仕事の満足度がおおむね高く、人生の幸福度も同じくらい高いと答えたという。

フェイスブックを辞めて自分の会社「ザッカーバーグ・メディア」を立ち上げたとき、私もまず、コンサルティングや講演といったフリーでできる仕事を始めた。それは自由でわくわくする、とても開放的な経験だった。

といっても私は、「仕事が不満なら辞めろ」とみんなに言いたいわけではない。私のような選択をする人ばかりでないのもわかる。それは、私にとって正しい選択だったのだ。家族を作りたかったし、自分の会社を始めたかったから。

幸せは十人十色でいい

幸せのあり方は十人十色で、人生のどの段階にいるかによっても違う。上司に従って仕事をすることがあなたの幸せかもしれないし、そうでないかもしれない(ただし、女性はもっとビジネスを始めるべきだと強く思う)。

いまでも私は、飛行機で乗務員に「ザッカーバーグ様? ひょっとして、あの……」と言われるたびにすくみ上がる。病院の受付で「ミセス・ザッカーバーグ!」と呼ばれてまわりの視線が集まると、どこかに雲隠れしたくなる。

結婚したときに姓を変える手もあった。けれど、結局変えなかった。フェイスブックは辞めたけれど、ザッカーバーグを捨てる気はない。なぜなら、自分の名前と家族に、そしてキャリアに誇りを持っているから。

家族のビジネスに加わったことも、その後、自分自身がリーダーになるときが来てそこを離れたことも、どちらも胸を張れる決断だったと思うのだ。

ランディ・ザッカーバーグ 起業家、ザッカーバーグ・メディア創業者兼CEO

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Randi Zuckerberg

投資家、作家、ミュージカルプロデューサー。テクノロジーとメディアの融合に強い関心を持ち、創業期から約7年間在籍したフェイスブックでは動画を生配信できるフェイスブック・ライブを開発。フェイスブック退社後は自身の会社を設立、ビジネス系ラジオ番組の司会やテレビアニメの制作などに携わる。著書の『Dot Complicated』と『Dot.』はベストセラーとなる。ミュージカルのプロデュース業ではトニー賞を2回受賞。また2014年、『ロック・オブ・エイジズ』のキャストとしてブロードウェイミュージカルに出演。ハーバード大学卒業(心理学士)。『ピック・スリー』刊行後の2019年、第3子を出産。3児の母となる。

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