Facebookを去った「もう1人のザッカーバーグ」 「富や名声」よりも人生で大切なことを考えた

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弟が創業したフェイスブックで働くために、私がシリコンバレーに移り住んだのは、2005年のことだ。当時のフェイスブックの社員数はわずか20人ほど、中華料理店の上の小さな一室が仕事場だった。

「仕事」の息抜きに「仕事」をする

「ハードワーク」の本当の意味は、創業期のITスタートアップで働いてみなければわかったとは言えない。スタートアップでは、働くペースも、働く時間も、職場のムードも、すべてが恐ろしく過酷だ。仕事が生活になり、その2つの境目がない。働いている時間と起きている時間がほぼ同じだ。

そんな私たちが「息抜き」と称して何をしていたのか、あまりショックを受けないで聞いてほしい。私たちは、もっと働いたのだ。当時フェイスブックでは、数カ月ごとにハッカソンという社内イベントが開かれていた。社員がチームを組んでオフィスで徹夜し、時間ぶっ続けで新規プロジェクトを開発するお祭りだ。

問題は(というか、だからこそ「息抜き」だったのだけれど)、そのプロジェクトが昼間の自分の仕事と無関係でなくてはならないことだった。部屋の隅でメールの未読をひたすら減らしていくのはダメ。次の会議のプレゼン資料を作るのもなし。

それは12時間で完成させる、自分の情熱に基づくプロジェクトで、新しく創造的であることが条件だったのだ。翌朝7時にまだ椅子から立ち上がれて、みんなに自分のアイデアを披露できたら、そのあとはパンケーキの朝食が待っていた。

あなたの考えていることはわかる。いえ、おっしゃるとおり。仕事の息抜きとして、もっと働いただって?? だからスタートアップの起業家はクレイジーなのだ! 仕事、また仕事で、休息は無視。それがDNAに刷り込まれている。脅かすつもりはない。でも会社を興そうと考えていて、この「労働者のメンタリティー」がない人は起業を考え直したほうがいい。

自慢するつもりはないけれど、私はハッカソンで2度、評判のいいプロジェクトを手がけた。

1つは1980年代ロックのコピーバンドで、その名も「フィードボム」。フェイスブックの現役社員とOBがメンバーとなって、社内のパーティーやチャリティーイベントで演奏した。バンドのモットーは、「お代は取りません、だからトチっても大目に見てね」。世界一上手なロックバンドではなかったかもしれないけれど、ハートだけはたっぷりこめて演奏した。

もう1つは、私が何よりも誇りに思っている、のちに世界の約20億人に公開されることとなったプロジェクト。現に、あなたの携帯電話にも入っているかもしれない。それは「フェイスブック・ライブ」と呼ばれる、ライブ動画の配信機能だ。

次ページ最初の利用者はたった2人。しかも…
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