Facebookを去った「もう1人のザッカーバーグ」 「富や名声」よりも人生で大切なことを考えた

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当時の私は(今でもそうだが)、デジタルコンテンツとデジタルメディアの融合に大きな関心を抱いていた。2010年には、最新のテレビドラマをパソコンでオンデマンド再生して見る人はまだ少なかった。ネットフリックスやアマゾンも、良質なオリジナルドラマの制作に何十億ドルも投じていなかった。

そのころから私は、テレビ番組をフェイスブックのサイト内で生配信する方法について考えていた。そうして思いついたのが、フェイスブックを配信メディアとして利用することだ。それなら、全米にネットワークを持つ巨大メディア企業でなくても、だれもが好きなときに視聴者に直接話しかけられる。

私はそのまったく新しいアイデアを、以前からフェイスブックと良好な関係にあった大手テレビ局(CNNやABCなど)に持ち込んでみた。ところが、コンセプトが斬新すぎて説得力のあるビジョンを打ち出せず、どこからも断られてしまった。

でも、諦めなかった。「こうなったら自分でやるしかない」。それで次のハッカソンが開かれたとき、「ランディ・ザッカーバーグのフェイスブック・ライブ」を開発したのだ。

結果はさんざんだった。初回の配信の視聴者は、たったの2人。カレン・ザッカーバーグとエドワード・ザッカーバーグ、私の両親だけだ。がっかりしすぎて12時間後まで起きていて会社にプレゼンする気もなくなった。私は諦めて家に帰りベッドにもぐり込んだ。

ケイティ・ペリーからの電話

ところが、どこかで何かがハマったようだ。そのわずか数週間後、ポップ歌手のケイティ・ペリーのマネジャーから電話がかかってきた。ワールドツアーの皮切り公演を、フェイスブック・ライブで配信したいという。

想像を超えたオファーに私はつい気後れし、こう口走りかけた。

「すみません、あれはちゃんとしたテレビ放送じゃないんです。私が社内イベントで作っただけの、どうってことない代物で──」

そこではっとし、自分に問いかけた。「ランディ、あなたの男性の同僚ならこんなときどうする?」。当然、ケイティ・ペリーに会おうとするだろう。彼らは、何がなんでもその話を実現させるはずだ。

それで、私も実現させた。2011年1月、ケイティ・ペリーは、フェイスブック・ライブの公式配信第1号となる。数百万人がアクセスし、ツアーチケットは数分で売り切れた。

それを境に、フェイスブック・ライブは万人が認める動画配信メディアになった。だれもがそれに出たがった。有名人、政治家、アスリート、世界的指導者……名だたる人々がフェイスブック・ライブに参加すべく、続々とフェイスブックの本社を訪れた。

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