テレビCMが「あまり見られていない」という誤解 人体認識技術による解析でわかる視聴態様

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ベンチャー企業であるTVISION INSIGHTSによって、テレビの新しい視聴データが開発された(写真:webweb/PIXTA)

テレビの前に誰がいて、その人の顔がテレビ画面を向いているかどうかを見分ける──これまでになかった視聴データを計測・提供するTVISION INSIGHTS(ティービジョン・インサイツ)は、同社独自の視聴質データで、テレビ視聴の新たな側面を可視化する。

まったく新しいテレビ視聴の指標

TVISION INSIGHTSは、設立わずか5年、ユニークなテレビ視聴データを扱っているベンチャー企業だ。現在80社以上の広告主、広告会社、放送局との取引がある。同社の活動が注目される理由は「テレビの前に誰がいるのかを見分け、顔がテレビ画面を向いているかのデータを取る」という、まったく新しい視聴データを開発したことによる。

その仕組みは、パネル(調査対象者)の家庭のテレビにカメラを取り付け、提供された顔写真を使ってテレビの前に誰がいるのかを判別し、1秒間に5コマを撮影して、テレビの前の人物の顔の向きと視線から、画面を見ているかどうかを判別するというものだ。

『GALAC』2020年3月号の特集は「劇変!視聴率 変革!広告ビジネス」。本記事は同特集からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

さらにテレビを見ている人の表情も、ニュートラル、スマイル、ネガティブ(しかめっ面)、サプライズ(驚き)の4種類で記録している。しかし現在、顧客に提供しているのは「誰が見ているか」と「テレビ画面を見ているか」の2種類のデータだ。その理由は、テレビを見ている人は意外と無表情だということがわかったからだそうだ。

パネルになると、カメラで家の中が丸見えになると思うかもしれないが、画像は一切録画されずに顔の向きなどが数値に変換され、その数値だけを保存・利用するので心配はない。また数値から画像を復元することはできないので、たとえ裸でテレビを見ていようと大丈夫だそうだ。

提供するデータは1秒に1つだが、これは大きな意味を持つ。ビデオリサーチの視聴率は1分単位のデータだ。しかしテレビCMは15秒単位。広告主からすると、1分単位では自社のCMが流れている最中の視聴率変化がわからず使いにくい。これが1秒単位であれば、例えばソフトバンクの15秒CM中、お父さん犬が出ている部分で顔を画面に向ける人が増え、一方キャンペーン告知になると顔を向ける人が減るといったことがわかるようになる。

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