テレビCMが「あまり見られていない」という誤解 人体認識技術による解析でわかる視聴態様

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TVISION INSIGHTSでは、テレビ画面の前に誰がどれくらい滞在したのかを「VI値」、その視聴者のうちどれくらいがテレビ画面を注視したかを「AI値」と呼んでいる。同社の郡谷康士・代表取締役社長は言う。

「セミナーなどでよくクイズを出します。番組本編からCMに入るとトイレに行ったりしてテレビの前からいなくなる(=VI値の減少)視聴者はどれくらい?と聞くと、20%という答えが多い。しかし実際には4%です。では、スマホをいじったりしてテレビ画面から顔をそらす(=AI値の減少)人は20%、50%、80%のどれでしょう?と聞くと、50%と答える人が多くて、20%と答える人はいません。ところが実際には21%です(図1参照)」

図1:番組とCMのVI値・AI値の差異(『GALAC』2020年3月号より)

世代間の格差はどうなっているか?

気になるのは世代間格差だ。スマホをよく使う若年層は、CMになると一斉にテレビ画面から目をそらすが、スマホを持たない高齢者層はCMに入っても画面を見続けていて、平均するとAI値のマイナス幅が小さくなっているのではないか。そこで世代別に見たのが次のグラフ(図2)だ。

図2:番組とCMの性・年代別AI値の差異(『GALAC』2020年3月号より)

最も下がっているのはM1の24%だが、Teenも、高齢層のF3もほとんど変わらず、世代による明確な差は見られない。

「セミナーの参加者は広告主のマーケティング担当、広告会社、テレビ局の方がほとんどで、みな非常に忙しい。ご自分はCMになるとすぐスマホをいじるので、ほかの人もそうだと思い込んでいるのですが実は違います。想像以上にCMは見られているのです。これは弊社のデータによって初めて明らかになったことです。皆さん、あまり悲観的になる必要がないことがわかり、うれしい驚きだったようです」(郡谷氏)

同社の視聴質・番組ランキングでも、同様のことが言える。視聴質はVI値×AI値、より多くの人が、より注視して番組を見たという同社独自の指標だ。

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