だが、スクーがニコニコ動画のように4000万人規模が使うサービスになるとは筆者には思えない。しかし、森氏は4000万人の市場があると言い切る。
「どこまでを教育としてコンテンツを拡充するか次第ですが、ニコニコ動画と同じ規模までのポテンシャルがあると思っています。ニコニコ動画はエンタメ中心ですが、オンラインで動画を見る人はエンタメだけを見るわけではありません。エンタメを見る人が教育コンテンツも見る。ユーザーが見るコンテンツは重複するはずです」
ユーザーはさまざまなコンテンツに触れる。極論すると、アダルト動画を見るようなユーザーはスクーのようなマジメな動画も見る。そう考えれば、最大のポテンシャルはニコニコ動画くらいまでは考えられるのかもしれない。
なお、筆者は3月20日にスクーに2度目の講義で登壇するので、お時間のある方はぜひ視聴いただきたい。
■スクー梅木雄平講義:グロースハックの概念と要点
【梅木雄平のスタートアップチェック (各項目を1~5で採点)】
●経営陣:3.8 森健志郎氏の「志」を語る力と根拠のない自信、そして27歳とは思えない経営者の風格に可能性を感じる。
●市場性 :3.6 B2Cのオンライン教育の市場規模は約100億円。毎年10%程度伸びている。オフラインのセミナー市場やB2Bまで広げれば市場はもっと大きいが、中期的な2~3年スパンで爆発的に伸びる市場ではない。
●利益率 :3.8 月額課金モデルがスケールすれば利益率は高まる。ニコニコ動画では有料会員数は約200万人。無料会員の約6%が有料会員。
●競争優位性:4.2 独自にコンテンツを作っており、ドコモのgaccoのような大学講義のオンライン化ではないため、競争優位性は高いと思われる。
●海外展開力:3.0 アーリーステージのため、現時点で海外の可能性は見えない。
●総合点 :3.6 広告や法人課金のアップサイドが限定的であると考えられ、有料会員数の伸びがカギになる。数十万人単位になるには時間がかかりそうだが、サービスとしての独自性は高く、社会的価値も高い事業であるため、長期的な視野で見るとじわじわと伸びる事業であると考えられる。
●予想EXIT :2018年くらいの上場
●上場時推定時価総額:100億円
推定根拠:森氏に事業売却の選択肢はない。会員数をスケールさせ、有料会員が増えれば利益率は高いので、営業利益は確保しやすい。すぐに爆発的に伸びる市場ではないが、積み上げで着実に伸びるモデルだと判断し、4年後の上場と置いた。
(撮影:尾形文繁)
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うめきゆうへい
慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェント子会社にてベンチャーキャピタル業務などに従事。複数のスタートアップ企業での事業経験を経て、2011年フリーランスとして独立後2013年に株式会社The Startupを設立。スタートアップ業界のオピニオンメディアThe Startup編集長を務める。著書に『グロースハック』がある
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