メディアの救世主?SSPの成長力を探る
国内最大のSSP、ジーニーのポテンシャルに迫る

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 スタートアップという言葉が日本でも定着し始めてきた。スタートアップのサービスは目新しいサービスに見えても、そのビジネスモデルは何種類かに分類することができる。そのサービスの事業領域の伸びがどれくらい見込めるかという点と併せてそのビジネスモデルを本連載で紹介していく。
 前回のフリークアウトに続くアドテク特集2回目は、媒体の広告収益最大化を担うSSP(サプライサイドプラットフォーム)を手掛ける株式会社ジーニー社長の工藤智昭氏に、SSPの仕組みを聞いた。

SSPはメディアの収益性を平均20%上げるツール

SSPは媒体社(メディア)の広告枠の販売や広告収益の最大化を支援するツールと、一般的には言われている。

最近、注目されているのは、前回のフリークアウトの記事内で紹介したRTB(リアルタイムビッティング)方式での販売だ。メディアはAdSense(アドセンス)のようなSSPが発行するタグを広告枠に入れ、広告を表示させる。その広告枠に対して、そのメディアを閲覧しているユーザーの情報を基にして、RTBでDSP(ディマンド・サイド・プラットフォーム)から入札が入る。広告主側を押さえているのがDSPで、広告枠側を束ねているのがSSPだ。

多くのオンラインメディアは広告枠に純広でなければ、グーグルのAdSenseを入れているところが多いであろう。ただし、AdSenseは、よほどPVが多いサイトなどグーグルと特別な契約があるメディア以外は、1ページで表示可能なAdSense枠は最大3枠である。かつAdSenseは規約が厳しく、メディアによっては掲載を許可されないこともある。

「ジーニーのようなSSPを入れると、広告枠数にとらわれることなく自由に広告掲載ができ、媒体の収益向上が見込めます。そのため導入前後を比較すると平均20%程度収益が向上が見込めます」(工藤氏)。

SSPの競争優位性とは何か?

SSPビジネスの競争優位性は、広告表示先となる取引メディア数と出稿主である提携DSP数といえる。技術力も多少の差はあれども、最終的にはいかに多くの取引メディアを開拓し、そのメディアの収益最大化を図るために多くのDSPと接続できるかがカギだ。

まずメディア側を考えると、メディアが表示させることができる広告枠数は限られている。SSPを導入する際は大型メディアほど複数社を試し、最終的に1、2社に絞るようだ。その後のスイッチングコストは比較的高いように思える。SSPの競争優位性に関して工藤氏はこう語る。

「メディア側の収益を最大化するには、RTBで入札単価が上がることが好ましい。入札単価を上げるには入札に参加するDSPが多い方が上がりやすいので、SSPの最大の競争優位性はDSPと多く接続することによる『収益還元力』にあります」

※ 記事初出時、Google AdSenseリセラープログラムの説明の箇所で誤りがございました。お詫びして削除・修正いたします。

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