メディアの救世主?SSPの成長力を探る
国内最大のSSP、ジーニーのポテンシャルに迫る

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海外ではRubicon ProjectがIPO予定

海外ではロサンゼルスのSSP企業であるRubicon ProjectがIPOを予定していると、ビジネスインサイダーが報じている。IPOにより約100億円の調達を目指すようだ。

記事内に記載のある損益計算書の主要指標を抜き出すと下記になる。

Rubicon Project 2013年度第3四半期までの損益
(1ドル=100円換算)
売上高:約56億円
損益:約9億円の損失

 

 現状では赤字のようだが、販管費がかさんだうえでの赤字のようだ。SSPの事業モデルでは、導入メディア数がカギとなるため、導入初期の営業コストが膨らむのは致し方ないだろう。導入メディア数が増え、運用の手離れもよくなってくるとコストが下がり、収益性が上がっていくのではないだろうか。

SSPはDSPより規模の経済が効きそうな事業モデルだ。海外ではRubicon Projectの存在感が大きいが、日本ではどの事業者が一歩抜きん出るのか。ジーニーにはかねてからIPOのうわさもあり、2014年中の上場を実現できるのか、注目したい。

【梅木雄平のスタートアップチェック (各項目を1~5で採点)】
●経営陣:3.8 CEOの工藤さんは知的で理系な香りがし、アドテクに強そうである。
●市場性:3.5 RTB広告の市場は中長期的に拡大が見込め、2016年には国内で1000億規模に成長する見込みがあり、SSP市場に関しては約600億円と見積もられている。ただし、マクロでimpression数の総和数がスマホ化もあり、そこまで伸びるとは思えない。市場のアップサイドは限定的かもしれない。
●利益率:3.5 DSPの手数料率30%に対してSSP手数料率は20%と一見、低く見えるが、DSPは配信ツールを超えてクライアントのマーケティング戦略の助言なども手掛けるため、それだけ工数もかかっており、営業利益率で見ると大差ないといえるかもしれない。
●競合優位性:3.4 導入メディア数と提携DSP数をいかに早く伸ばせるかの営業力が鍵であり、ビジネスモデル上の競争優位性は築きにくい。ヤフーとの提携を実現しているだけあり、ジーニーの営業力は高いといえる。
●海外展開力:3.0 海外ではIPOを控えた巨人Rubicon Projectがおり、導入メディア数が肝になるビジネスモデルであることから、すでにRubicon ProjectなどのSSPを導入しているメディアに営業し、併用かリプレイスする難易度は高く、海外展開難易度は高い。
●総合点 :3.5 「媒体の収益力を20%上げる」ことを提供価値とするSSPは需要と社会的価値があり、今後の市場拡大も見込める。その中で国内トッププレーヤーの一角であるジーニーも成長性が見込める。
●予想EXIT :2014年中の上場
●上場時推定時価総額:150億~300億円
●推定根拠:年間売上約25億(月間200億impで、imp単価0.01円でざっくり計算)粗利5億(粗利率20%)、営業利益2〜3億、PER50前後と想定

 

梅木 雄平 The Startup編集長

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うめきゆうへい

慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェント子会社にてベンチャーキャピタル業務などに従事。複数のスタートアップ企業での事業経験を経て、2011年フリーランスとして独立後2013年に株式会社The Startupを設立。スタートアップ業界のオピニオンメディアThe Startup編集長を務める。著書に『グロースハック』がある
 

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