思考力が強い人が「箇条書きメモ」を駆使する訳 あらゆることを「明確」にできる2つの方法

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単純な箇条書きのリストにそこまでの力があるのか、半信半疑の人もいると思いますので、試しに2つのリストを作っていただきたいと思います。

ここでは実際に紙とペンを取り出して、手を動かすことが重要です。ただ目で見て文章で納得したつもりになるのではなく、実際にリストを作ってその心理的な効果を感じることで見えてくるものがあるからです。

最初の例は「頭の中を書き出すリスト」です。まず1枚の紙を取り出して、いま気になっていることを箇条書きで書き出してみましょう。

気になっていることは、どんなものでも構いません。まだ片付いていない仕事、買い忘れていたもの、まだメールの返事を送っていない案件、読もうと思っていたけれども忘れている本、などといった具体的な行動を伴う事柄なら思い出しやすいはずです。

もっとあいまいな事柄、例えば気になっている人間関係、将来についての不安、心の中に隠していることについて書いてもいいでしょう。

このとき「つまらないものだから書かない」などといった区別はつけないように注意します。歯ブラシを買い忘れたといったつまらない雑用と、気が重くなるような将来の不安とを、同様の扱いで並列させて書き足していきます。例えば、次のようになります。

● 仕事で電話をかけるのを忘れている
● 子どもの書いた読書感想文を添削する時間を作ること
● ドラッグストアで目薬を買い忘れている
● 先日ツイッターで見た面白そうな本を注文する
● 将来の蓄えについて計画を立てたい

やってみると、すぐに紙の上に20個程度の項目が書き出せるはずです。そうしたらひと休みして、さらに20個を書き足すことができないか試してみます。周りを見渡し、気になることがないか探してみましょう。カレンダーやメールの受信箱を見て、忘れていたことがないか探していきます。

この作業はブレインダンプ(頭の中のものを、ドサッと落とす)という手法ですが、慣れてくれば一度に100項目ほどを頭の中から引き出すことができるようになります。そして、いま作ったこのリストは、それだけで少し大きめの「やることリスト」として利用価値があるものです。

この作業を通して初めて人生の課題のようなものを文章にして書いた、という人もいるでしょう。

やってみて、心理的にはどんな気持ちになったでしょうか?日常の作業に追われていた忙しい人なら、こうしてリストを書いてみるだけで妙にスッキリとした、胸のつかえが下りたような気持ちがしたかもしれません。

現実にはやるべきことや気になっていることはまだ解決していないのですが、こうして一覧できるようになるだけで、心配事がいったんリストに預けられた状態になります。すると、その対象と自分自身との間に距離が生まれ、感じていたストレスがそれほど気にならなくなるのです。

これがリストの基本的な働きの1つである「気持ちがスッキリとする」という効果です。

読んでも忘れない「リストを活かした読書」

もう1つ、例を見てみましょう。先程と同じように紙を取り出し、今度は過去に読んだことがある本の要約を箇条書きで書いてみます。

内容をよく覚えているなら、項目を章ごとにまとめて、一つひとつの章で何が書いてあったのかを粗筋で書くのでもいいでしょう。小説なら印象に残っている場面やセリフだけを抜き出して書いてもかまいません。

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