東証改革でも「ゾンビ企業」が半数残留の不可解 上場企業約3700社の6割が東証1部に集中
基準を下げたことは、質の悪い企業にもお墨付きを与えてしまう。コメディアニメ『鷹の爪団』で有名なディー・エル・イーはマザーズ上場から1部市場に緩められたエスカレーター式で移ったが、粉飾決算が発覚。このような事例が相次ぎ、1部企業のブランド価値も傷つけた。
さらに、PBRの低い企業が増えることは、日本株全体の価値の低下にもつながった。企業が儲けているから業績が上がり、株価が上がり、証券取引所全体の時価総額が上がるというのが健全な流れであるはずなのに、上場した企業は無理やり膨らませた風船のように中身が伴っていなかったのだ。東証も自分からブランドを差し出してしまった以上、今さら返せとは言えない。そうした惰性は現在までも続いている。
本来、東証1部上場企業はエリート集団
日本に約400万あるといわれる企業のうち、上場企業はわずか約3700社。1部銘柄はそのなかでも選ばれた2161社で、本来は疑いようのないエリートだ。厳しい審査を通過した後も業績を出し続け、株主に利益を還元し従業員にも賃金上昇や福祉向上という形で報いる責任もある。
ただ、現在の実態はそういった理想からはかけ離れていると言わざるをえない。日本株のプレゼンスが低下して久しい今、海外からも投資マネーを呼び込もうと思えば、東証は今回の改革でより引き締まった市場の構築を求められるだろう。
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