新型ヤリスに搭載したハイブリッドシステムは従来型との比較で、加速性能は15%以上アップさせながら、同時に燃費数値も20%程度アップさせたWLTCモード36.0km/L(HYBRID X)を実現する。
新型ヤリスの真骨頂であるハイブリッドモデル。エンジンには新設計の直列3気筒1.5Lエンジンを用い、ハイブリッドシステムはプリウスなどでおなじみのTHS-Ⅱ方式ながら各部を大きく変更したという。
プロトタイプにクローズドコースで試乗してみると、確かに市街地で流れに沿って発進するようなアクセル操作でも力強く、そして前述したラバーバンドフィールもほぼ感じられない。
もっともアクセルペダルを全開にすればエンジン回転数が先行して高まるものの、日常使いとされるアクセル開度にして50%以下の領域ではトルコン方式のATと同じように踏んですぐに加速度が高まる。ここには車両の50kg軽量化(従来型ハイブリッドモデルとの比較)も効いている。
最も進化したバッテリー
ハイブリッドシステムの変更箇所は大きく3つ。モーター/PCU(パワーコントロールユニット)/バッテリーだ。このうち最も進化したのはバッテリーで、リチウムセルを新規に開発し、出力と回生力をともに大きく向上させるなど、電気の出し入れ能力が高められたのだ。
具体的なメリットはこうだ。カーブへの進入時にアクセルペダルを戻すると、一般的なハイブリッドモデルがそうであるように、弱めの回生ブレーキが発生する。新型ヤリスの場合は、頻繁な電気の出し入れ性能に優れたバッテリーを使っているため、一般的なハイブリッドモデルよりも積極的に回生ブレーキを使うことができる。
回生ブレーキは電力回生→バッテリーへの充電とともに、弱いブレーキによって車体はやや前のめり姿勢になり前輪荷重もその分だけ増える。これにより車体はステアリングの操作に遅れなくスムーズに動くのだ。
「従来型ではバッテリー性能に制約があり回生ブレーキには介入量に制約があった。その点、新型は十分なバッテリー性能が得られたため回生ブレーキの介入量を増やすことができ、走行性能向上にも使えるようになった。数値にすると僅かに増えただけの前輪荷重ながら効果は大きく、一般道で交差点を曲がるようなシーンでも気持ちよく走る」(ハイブリッドシステム担当者)という。
積極的に介入することになった新型ヤリスの回生ブレーキだが、普通にアクセルペダルを戻した際に発生する弱い減速状態をさす。ステアリング操作をきっかけにエンジン出力をわずかに落として前輪荷重を増やすマツダの「GVC」にも通ずる考え方だ。
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