駅係員や改札機をだまして詐欺罪に問われた場合の刑罰は10年以下の懲役であるが、鉄道営業法第29条違反に問われた場合には2万円以下の罰金か科料である。
だますか強行突破かの違いはあるものの、それくらいしか違いはなく結果として運賃の支払いを免れていることは一緒である。
この違いの理由を突き詰めていくと、詐欺罪はその行為により不法に財産上の利益を得ることが条文上明記されている一方、鉄道営業法第29条違反の罪は単に無札を罰するとするだけで「不法に財産上の利益を得ること」が明記されていない。
このことから、前者が他人の財産を保護することを目的とし、後者は鉄道の運輸システムを保護することなのか、とか、犯罪として成立する時点はそれぞれ違うのか、とか、興味深い論点がいくつか出てくる。
時代に合った罰則が必要だ
それは法律家らが考えることとして、実際問題として改札システムが進化したのに、それまでは10年以下の懲役に問われたものが2万円以下の罰金で済む、というのは利用者的には納得がいかないようにも思える。
何機もの改札機が並ぶ比較的大きな駅の改札口で改札機が不審な乗車券を検知してアラームを鳴らしても、そもそもそれに対応できる駅係員がいないことを時折目にする。簡易なICカード乗車券リーダーが置かれている小規模な駅では、駅係員配置時間が限られていたり無人駅だったりして、不正乗車があっても対応が不可能なところもある。
不正乗車をする人間がいちばん悪いのは言うまでもないが、無札や不正乗車がリスクの低いギャンブルにならないよう、刑罰や増運賃のあり方を含め運賃収受の確実化、適正化に向けた鉄道事業者や関係者のより一層の努力を望む。
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