駅改札「強行突破」、キセルより罪が軽い不条理 自動改札機が増えた今、罰則は適正なのか

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そもそも「キセル乗車」とは、乗車駅Aから近隣のB駅までと、下車駅近隣のC駅から下車駅D駅までの乗車券を使ってA駅からD駅まで何食わぬ顔をして乗車し、B駅とC駅の間を無札で乗る不正乗車をいう。

キセルは吸い口と煙が出る出口に金具が付いていて金具と金具の間が筒になっている喫煙具であるが、この不正乗車も真ん中が無札でがらんどうの筒のような形態なのでキセル乗車と呼ぶ。

今回の検察庁に送致されたときの罪名は「鉄道営業法違反」ということであった。同法第29条第1号「有効ノ乗車券ナクシテ乗車シタルトキ」に該当するということであろう。刑罰は2万円以下の罰金または科料である(刑事罰以外にもJRから割増運賃を請求されるから、金銭的な負担はこれよりも大きい)。

なぜ詐欺にならなかった?

しかし、昔からキセルなどの不正乗車は、駅係員の目を盗み、自動改札機をだます、ということで、どちらかというと一般的なイメージは「詐欺」(刑法第246条、同第246条の2)だと思われる。今回なぜ詐欺ではなく鉄道営業法違反だったのか。

まず基本的なことを理解する必要がある。

詐欺罪(刑法第246条)は、「人をだまして物を獲得したり利益を得たりする犯罪」である。昔ながらの有人改札口の時代に不正乗車をする場合には、いかにも有効な乗車券を駅係員に提示して実は不正乗車の手段にしていた、という行為があるから、「人をだます」という要件を満たしていたといえる。

キセル乗車と詐欺罪の成否に関しては議論があるが、先の例でいうと、判例では、乗車駅A駅で不正な手段に使うためにB駅までの乗車券を提示し、下車駅D駅でやはり不正な手段に使うためにC駅からの乗車券を駅係員に提示(交付)し、正当な運賃の支払いを免れることは詐欺罪になるとされている(大阪高裁1969(昭和44)年8月7日判決・刑事裁判月報1巻8号795頁)。

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