積水ハウスが今、アメリカ事業を強化する理由 「CES出展・MITとの共同研究」の動きがある
これまでパートナー企業・大学の研究室や病室で検証を繰り返してきたが、昨年10月からはマサチューセッツ工科大学(MIT)の医工学研究所(IMES)と、アルゴリズム開発を含む在宅健康モニタリングについて共同研究も始めている。
MITは周知のとおり、理系分野で世界トップクラスの知見と専門性を有する研究機関だ。CES出展という、日本のハウスメーカーにはこれまでなかった積極的な展開が、日本国内では得がたいパートナーの獲得につながることになったようだ。
これからの企業活動は、国や地域を越えたオープンな関係の中で生み出される、いわゆる「オープンイノベーション」が不可欠と言われるが、積水ハウスとMITの連携はそれを地でいっているようなものだろう。同社では現地に研究部門の社員を常駐させ、専用の研究棟を建設するなどし、研究成果の発現に向け動いている。
いずれにせよ、カギとなる非接触型センサーによるシステム確立がどのように推移するか、今後の進展は積水ハウスだけでなく、さまざまな人々に影響を与えることで、行く末が注目される。
なお、積水ハウスでは今年中に実際の住空間での「生活者参加型パイロットプロジェクト」をスタートするとしている。また、同社ではHED-Netに関し、日本で特許を取得し、国際特許取得に向けても動いている。
本格進出を見据えたモデルハウス
積水ハウスはラスベガス近郊で、もう1つ新たな取り組みを進行させている。日本で培ってきた住まいづくりの技術や提案力が、アメリカの市場でどのように評価されるのか確認し、本格進出の足掛かりとしようとするものだ。
2017年に完全子会社化した現地住宅会社のウッドサイド・ホームズ社との共同プロジェクトで、積水ハウスの木造住宅「シャーウッド」の構造躯体、専用外壁材「ベルバーン」などを用いたモデルハウス「Chōwa(調和)」をラスベガス近郊の高級新興住宅地に建設、公開している。
シャーウッドの構造躯体は、日本の伝統工法である木造軸組の進化版。高い構造強度と柔軟な設計対応力を有するが、その建物がツーバイフォー工法による建物がほとんどのアメリカ市場において、消費者や住宅事業者からどのような反応を得られるのか、を推し量ることが公開の第1の狙いだ。
また、積水ハウスが日本で展開している空間や住まいの提案が、多世帯居住ニーズが増えつつある現代のアメリカ人のライフスタイルにどのようにフィットするかを探ることなども重要な狙いの1つとなっている。
このほか、アメリカの住宅市場は、超高額所得者層から低所得者層まで、日本以上にさまざまな需要者層が存在する。どのような層をターゲットとするのか、マーケティングを行うことも目的の1つだという。
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