悩めるソフトバンク、綱渡りの米国市場攻略 Tモバイル買収実現に向けロビーイングに乗り出す

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そこで検討が進むのが、スマホゲーム事業の強化だ。ソフトバンクは昨年4月、「パズル&ドラゴンズ」を展開するガンホー・オンライン・エンターテイメントを連結化し、10月にはライバルのスーパーセルを手中に収めた。しかし、ゲームアプリ会社は多い。「キャンディー・クラッシュ・サーガ」がヒット中の英キングを買収するなどして稼ぎまくる手がある。

もちろんスマホゲームは、基本的にはどの端末でも遊べるため、特定の携帯事業者とシナジーを見いだすのは難しい。ただ、端末にあらかじめインストールし、「スプリントのユーザーなら特典が受けられる」といった工夫を施せば、ユーザー獲得に生かせる。

さらに武器を持つとすれば、爆発的にユーザーを広げるメッセージングアプリも選択肢かもしれない。ただ、2月にフェイスブックが「ワッツアップ」を1.9兆円の高値で射止めたため、価格は高騰。一部報道があったLINE買収の選択肢も、現実味を失いつつある。

「ボーダフォンより楽」

昨年末時点でソフトバンクの有利子負債残高は9兆2200億円に上る。昨年7月、格付け会社のムーディーズ、S&Pはそろってソフトバンクの格付けを投機的水準(ジャンク債)に引き下げている。追加で巨額の借金をするのは困難な状況だ。

しかし、後藤芳光財務部長は「さらなる買収に耐えうる、十分な余力がある」と説明する。その根拠は、有利子負債から手元資金を引いた純有利子負債に対するEBITDA(償却前営業利益)の倍率の「低さ」だ。昨年12月時点の倍率は3.5倍。「ボーダフォン買収時は6.2倍だった。2~3倍台というのは通信会社の安全圏で、まだ悪化させられる(負債を増やす)余力がある」(後藤部長)。

本当に余裕でいられるのか。それともTモバイルを買収できないことが苦境への入り口になるのか。カギを握るのは3月11日のプレゼンを皮切りに、米国メディア、ひいては国民の支持をつかめるかどうかだろう。真剣勝負の幕が上がろうとしている。

週刊東洋経済2014年3月15日号〈3月10日発売〉の核心リポートでは6ページにわたって、「焦るソフトバンク」を特集。この記事は、そのうちの一部です)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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