大塚明夫「声優として生き残れない若者の特徴」 下積みができない人は声優なんてやめときな
個人的には、若手は皆もっと「主役がやりたい」「大きい役がやりたい」と望むべきだと思っています。本数ではなく、より大きな役を求めて戦うべきだと。そうやってあがいているうちに、その姿勢がディレクターやプロデューサーの目に留まって「こいつにもう少し大きい役やらせてみようかな」と思われたりするのですから。
そのためには、先輩に組みついていく、利用しようとすることも必要です。うちの事務所のマネージャーたちはよく新人に「先輩に現場に連れていってもらいな」とすすめるのですが、実際そうやって現場にくっついていく新人はほとんどいないようです。私のところに頼みにくる子もいません。
現場にもぐりこめば、「ちょっと喋ってみ」と声をかけてくれるディレクターはいます。やらせてもらえるのがモブの一言だったとしても、そういう場で自分をアピールしなければチャンスも増えません。実際、そうやって現場に通って、有名海外ドラマのレギュラーを取った声優もいます。昔の話になってしまいますが、私も新人時代は父にくっついていろんな現場に行き、一言二言喋らせてもらっていたものです。
下積みとは「戦いの期間」である
「いっぱい喋るのって楽しいんですね、明夫さん!」
ある若い人が、私にこう言ったことがあります。そうです。いっぱい喋るのは、演じるのは楽しい。
新人のうちだと、午前の現場で一言、夜の現場で一言、なんて日だってあります。一言喋って、あとはほかの役者の演技を見る。それも確かに勉強になるけれど、自分が演じていたほうが楽しみは勝るに決まっています。
演じるのが好きでこの世界に来たはずなのですから、やる以上はそうやって、楽しく働けるのがいいに決まっている。下積みとは、その時間を獲得するための戦いの期間です。その戦いを自ら起こさず、精進もせず、マネージャーが仕事を持ってきてくれるんだと思っている人は、一刻も早く声優業からは足を洗ったほうがいいでしょう。
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