ここがヘンだよ!日本企業のイノベーション 科学者集団が考えた、面白い仕事の作り方
そして、廃棄されていたシークワーサーやアセロラのしぼりかすを改良し、リバネスの発酵学のノウハウを活用して、自前でエサを生産することで、徹頭徹尾、福田の手による豚を作ることに成功したのです。今では、その豚をリバネスの飲食事業の店舗である「梅酒ダイニング明星」や、福田自身が営業した先へ卸し、実際に消費者に届けています。
とはいえ、ここまででは熱い男による、よくある情熱物語にすぎません。これをどうビジネスに発展させるかが、経営者の手腕が問われるところです。
さて、そこで僕はどうしたか。この福田が切り開いた一連のプロセスを通して、リバネスには、今までまったくかかわったこともなかった養豚のノウハウが備わったことになります。じゃあ、この仕組み自体を売ればいいと考えました。
廃棄物を利用して自前でエサを作り独自のブランド豚を開発するというパッケージを売ることにしたのです。そして、たとえばカツサンドで有名な井筒まい泉さんをご存じの方も多いと思いますが、そこではこのモデルで生産した「甘い誘惑」というブランド豚を商品に利用しています。
ここでも、根底にあるのはQPMIの発想です。「地域の養豚農家を助け、畜産業を活性化できないか」という「Q」(疑問や課題)がある。アイデアを考えた社員には「これを自分で実現したい」という「P」(情熱)がある。
ここに、上司が最初のメンバーとなって、どういう「M」(使命)を掲げればいいか、一緒に考える。あとは、考え続けることでなんとか答えを見つけ、「I」(革新)につなげていく。
何よりもまず、新しいこと、面白いことをやってみよう、という社員個人のパッションが大事なのです。そのパッションを潰さないように考え続けることで、新しいアイデアは生まれてくるものだし、マネタイズの方法もひねり出せるものだと、私は思っています。
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