ここがヘンだよ!日本企業のイノベーション 科学者集団が考えた、面白い仕事の作り方
P:課題解決に対する情熱を持ち続ける
M:課題をミッションに発展させ、チームを作って取り組む
I:チームの推進力により新たな価値の創出を目指す
つまり、たったひとりの大きな問題意識がまず最初にあって(Q)、それに対する情熱を殺さずに育てる(P)。そして、周囲を巻き込みながらプロジェクト化し、集団で試行錯誤を積み重ねること(M)。それを会社全体で実行することが、イノベーションを起こす組織になるための唯一の方法ではないか、と僕は思うのです。
「みんなでイノベーションを起こそう」は無意味
企業の経営陣や上司が知っておくべき最も大切なことは、「みんなでイノベーションを起こそう」と呼びかけることの無意味さです。たったひとりが抱いている問題意識とパッションを周りに伝播させていくことでイノベーションは起きるのであり、トップダウンで呼びかけるだけでは革新は生まれません。
身近な例で考えて見ましょう。もし、あなたが部下の立場で、自分の会社に不満を抱いているとして、その不平不満を上司にそのまま言ったとしても、あまり効果はないでしょう。経営陣の考え方や会社の風土をいきなり変えるのは、簡単なことではないからです。ではどうすれば、イノベーションの起こりうる風土が生まれるのでしょうか?
今、すぐにあなたができることは、自分が本当に取り組みたい「Q」(疑問や課題)を考え抜くこと。そして、それを解決するための「P」(情熱)を持ち続けることです。そして、それを周囲の人々やFacebook、Twitterなどで発信し続けてみましょう。
発信し続ける利点は、非常に大きいものがあります。課題を解決する方法を考えて発信していると、あふれる情報の中から、必要な情報だけが取り込めるようになるのです。
そして、周囲の人々が必要な情報を提供してくれるようになり、ともに課題解決する仲間を見つける手掛かりが得られるようになります。それらの情報を取り込みながら、自分の課題設定(Q)と情熱(P)をより強いものにしていくことが、イノベーションを起こすために「ひとりの社員」ができることです。
断固、重要なのはパッション
さて、みなさんはQPMIサイクルでいちばん大切なのはどれだと思いますか? 僕は断固、「P」が重要だと思います。つまり一人ひとりのパッションです。
ちょうど就活シーズンですが、多くの企業では、個々人のスキルを見て採用するケースが多いのではないでしょうか。でも、もしイノベーションを組織に求めているとすれば、まず必要なのは、パッションのある人材を集めることです。そして、採用した社員のパッションに“道筋”をつけること、パッションのある社員が出したアイデアを、社内でマネタイズする方法を考え抜くことが、会社側がやるべきことです。
私は、現在の日本企業が抱える最も大きな問題のひとつが、社員の「モチベーション」をコントロールしようとしていることだと考えています。
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