日本の成長率は、前頁で見たユーロ諸国の成長率よりさらに低くなっています。
このため、世界経済の中での日本経済のシェアは、大きく低下することになるでしょう。
なお、図表1のいちばん右の欄には、参考値として、IMF(国際通基金)による2023年の実質成長率の予測値を示してあります。
これと比べると、日本の年平均成長率についてのOECDの予測値は、2倍近い値です。したがって、OECDの予測は過大である可能性もあります。
アメリカの成長率は、世界全体の成長率よりは低くなっていますが、OECD諸国の平均成長率とほぼ等しく、ユーロ諸国の成長率よりは高くなっています。このため、高所得国の中でのアメリカのシェアは上昇することになるでしょう。
なお、アメリカについて、OECDの予測値は、IMFの予測値よりは若干高くなっています。
次に中国を見ると、2020年から2040年までの期間においては、成長率は世界全体の値より高くなっています。したがって、世界経済における中国の比率は、高まるでしょう。
OECD諸国やユーロ諸国、あるいは日本と比べると、成長率はかなり高くなっています。したがって、現在の高所得国に対する中国の比率はかなり高まると見られます。
中国の成長率は少子化の影響で将来は鈍化
ところが、2020年から2060年の間の成長率は、2020年から2040年の間の成長率よりかなり低くなり、全世界の平均値より低くなっています。
これは、少子化の影響で中国の経済成長率が鈍化することを示しています。
また、OECDの予測値は、IMFの予測値と比べるとかなり低くなっています。
インドの成長率は、いずれの期間においても、世界全体の成長率よりかなり高くなっています。これは、インドにおいて若年層人口の増加率が高いことの結果です。このため、世界経済におけるインドの地位は高まるでしょう。
ただし、インドの場合にもOECDの予測値は、IMFの予測値と比べるとかなり低くなっています。
以上で見たのは、「自国通貨建て(自国通貨表示)の実質GDP」(Gross domestic product in volume, local currency)の推移です。
つぎに、「自国通貨建て(自国通貨表示)の名目GDP)(Gross domestic product, nominal value, local currency)の推移を見ると、図表2のとおりです。
いずれのケースにおいても、図表1に比べると物価上昇率分だけ数値が大きくなっています。
名目値と実質値の差は、日本の場合2%程度となっています。これは、日本銀行が目標としている値ですが、果たして実際にそれだけの物価上昇が実現するのか、大いに疑問です(日銀による2019年の見通しは、11月時点で0.5%)。
名目値と実質値の差は、アメリカ、ユーロ諸国でも2%程度です。
中国では3%程度、インドでは4%程度となっています。
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