大型増資に踏み切ったマツダの「危機感」

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次世代エンジン搭載車の発売は11年に迫っており、関連する生産設備投資も来年から始まる。国内金融機関は今後さらに自己資本比率の底上げを狙った増資に走るとみられ、「世の中からおカネがなくなってしまう。今を逃すと次に増資するチャンスは来年の夏になる。設備投資に間に合わない」(山内社長)。

増資発表直前にはマーケットで増資観測が流れた。希薄化懸念から株価が下落し、マツダ側を慌てさせる一幕もあったが、ほぼ予定どおりの935億円を調達できた。設備投資300億円のほかエンジン開発に200億円、ハイブリッドを含む電気技術開発に370億円を振り向ける。

増資の検討は3カ月前に始めたという。不況時にはわずかな判断の遅れが企業の行く末を決めうる。中位メーカー他社がマツダにどう続くのか、目が離せない。

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(撮影:梅谷秀司)

高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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