ハーゲンダッツが12月に最も売れる納得の理由 徹底したブランド戦略でご褒美の地位を確立
「1年が終わる12月は、今年頑張った自分を慰労する意識も高まるときでしょう。そこで今回の新商品では、スイーツの中でもゴージャスなイメージがあるパフェを表現した中身にしたのです」
商品開発では、ストロベリーソース、バニラカスタードアイスクリーム、チョコレートブラウニーの調和と味わいに試行錯誤したそうだ。最需要月の発売で、売れ行きは上々だという。全社的には、6月の価格改定後にやや伸び悩む業績を巻き返したい思いもあるだろう。
ところで、なぜハーゲンダッツは12月に売れるのか。
「一般的なアイスに比べると価格が高く、ご褒美需要もあると思います。日本で発売を始めた当時から、12月が最も売れていましたが、特別なプロモーションをしてきたわけではありません。例えば、年末の人が集まる機会でのご利用や、仕事帰りに立ち寄れるコンビニで買うアイスのぜいたく品として、選ばれている感もあります」(黒岩氏)
「わざわざ買いに行く」商品だった
かつて「ハーゲンダッツ」は特別なブランドだった。
1984年の日本上陸時は、東京・青山に直営店を開業。地下鉄外苑前駅に近く、青山通り(国道246号線)に面したこの店は、オープン当初から若者を中心に店外までお客が並び、「行列文化」のさきがけとなった。翌1985年、西麻布に1号店ができた「ホブソンズ」が加わり、店で食べる高級アイスクリーム文化が芽生えたのだ。
ちなみにハーゲンダッツ入居時のビル名「プラザ246」は、 “テナント不毛のビル”とも言われた。各テナントの売り上げが伸びなかったのだが、それを同ブランドが変えた。
1980年代から1990年代前半は、直営店での販売が主体で、2013年まで運営した。筆者が最初に同社を取材したのは15年前(2004年)で、国内店舗数は66店あったが、総売り上げに占めるショップの比率は6%にすぎなかった。
「当時は直営店に来て、体験として楽しんでいただくことも重視していました。ある時期まで『ハーゲンダッツのファンづくり』には不可欠な存在だったのです」(黒岩氏)
つまり、そこに行かないと買えない商品だったのだ。
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