ハーゲンダッツが12月に最も売れる納得の理由 徹底したブランド戦略でご褒美の地位を確立

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結果は1位がミニカップ 「キャラメルバタークッキー」、2位はDecorations「アーモンドキャラメルクッキー」、3位はミニカップ「ほうじ茶ラテ」、4位ミニカップ「バナナ&マスカルポーネ」、5位がDecorations「抹茶チーズクッキー」の順だった。

上位のランキングが興味深い。ネーミングも含めて、中身がイメージしやすいのだ。

「最近は限定フレーバーでも、味が想像できるものが選ばれるようになりました。せっかく買うのだから、失敗したくない気持ちが高まっているようです」(黒岩氏)

あるファッションブランドに聞くと、数年前に比べて正月の福袋人気も陰りが出ているそうだ。これも「失敗したくない」意識として共通するように感じた。

バニラ単独よりも「上乗せ感」

「ハーゲンダッツの商品の中で通年人気の商品は、バニラ味が1位です。ただ、日本でのバニラ人気も少し変化してきました」

黒岩氏はこう話す。どういうことか。

「ハーゲンダッツのバニラアイスクリームは、バニラビーンズから香りの成分を抽出したバニラエキストラクトを使っています。しかし、お客さまの中にはバニラアイスクリームがプレーンなフレーバーで、抹茶やイチゴを加えて、グリーンティーやストロベリーのアイスクリームが作られると思う人もいらっしゃるようです。また、35周年記念商品として、今年7月に発売した『翠(みどり)~濃茶~』という期間限定商品も人気がありました」

今年は別の取材でも「バニラ味よりもチョコレート味が人気」という話を聞いてきた。単なるチョコ味ではなく、バニラにチョコレートコーティングした商品も目立った。

筆者はこれを“ささやかな上乗せ気分”だと考えている。その意味では、定番の「グリーンティー」ではなく、「翠~濃茶~」も上乗せのある商品だ。

ハーゲンダッツはアイスとしては高いが、有名店の生ケーキに比べると高くない。それでも“上乗せ感”を求める心理に、現在の消費者意識が反映されているように感じた。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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