ハーゲンダッツが12月に最も売れる納得の理由 徹底したブランド戦略でご褒美の地位を確立

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全国各地の小売店で買える現在も、プレミアムイメージは残り、「レディーボーデン」(当時は明治乳業。現在はロッテアイス)をしのぐ高級アイスクリームの代名詞となった。11月に筆者が取材した石川県七尾市のスーパーでは、店頭POPで「毎週水曜日は定価よりアイス4割引。※ハーゲンダッツ・レディーボーデンは除きます」と記されていた。

当時運営した青山の直営店(写真:ハーゲンダッツ ジャパン)

人気の理由は、徹底したブランド戦略もある。

北欧っぽい名前だが、アメリカブランド

ブランド名の「ハーゲンダッツ」は、その名前から欧州発祥と思われがちだが、実は1961年にアメリカで生まれたブランドだ。創業者のルーベン・マッタス氏が酪農王国であるデンマークの首都・コペンハーゲンから「ハーゲン」を取り、それに語感のよい「ダッツ」(造語)を付け加えた。食品添加物や合成着色料が当たり前だった1960年代のアメリカにあって、マッタス氏は「高品質な素材で今までにないアイスクリーム」の製造・販売にこだわった。

日本国内で、ブランドの認知を一気に高めたのはテレビCMだ。1991年に「アメリカの親会社を説得し」、他の国に先がけて放映が始まった。かつては長年、日本では認知されていない外国人モデルの起用を続け、神秘性を演出した。

「現在のブランドアンバサダーは、女優・モデルの中条あやみさん。自分を持っている芯の強さ・ぶれない部分がブランドとの共通性を感じ、視聴者からも好評です」(黒岩氏)

ちなみに日本の著名人の起用は2008年が最初で、当初は声のみの出演だったという。

味としての人気には、「選ぶ楽しさ」もある。長年、人気トップ3の『バニラ』『ストロベリー』『グリーンティー』の定番品を軸に、さまざまな期間限定品を出し続けてきた。

最近では「2019年上半期発売 ハーゲンダッツアイスクリームランキング」も実施した。10代から60代の月1回以上、ハーゲンダッツアイスクリームを食べる消費者を対象に、今年上半期に発売したフレーバーのうち「食べたいと思うもの」を聞いたものだ。

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