自分の「スケジュールを隠す人」が大成しない訳

1300年前の「オープンな組織」に学ぶ

中国の古典『貞観政要【じょうがんせいよう】』で語られる「オープンでフラットな組織」について紹介します(写真:zorazhuang/iStock)
立命館アジア太平洋大学<APU>学長・出口治明氏(新刊に『座右の書『貞観政要』』がある)が「座右の書」にしている中国の古典『貞観政要【じょうがんせいよう】』。唐の第2代皇帝の太宗【たいそう】(李世民)の言行録であり、帝王学の教科書ともいわれる中国の古典です。そこで語られる「オープンでフラットな組織」について紹介します。

「過去の失敗に学ぶ」「善人を登用」「戯言に耳を貸さず」

貞観16年(西暦642年)に太宗が、諫議大夫【かんぎたいふ】(皇帝を諫める役職)の褚遂良【ちょすいりょう】に、「あなたは、君主の言動を記録する役割も兼ねている。私が行っていることの善悪も記録しているか」と尋ねると、褚遂良は、「史官の記録には、君主の挙動をすべて書き記してあります。善事だけでなく、過失も含め、包み隠さずに記録しています」と返事をしました。

褚遂良の返事を受け、太宗は、次のように言葉を重ねています。

「太宗曰く、朕【ちん】、今、勤めて三事【さんじ】を行ふ。
 亦【ま】た、史官が吾が悪を書せざらんことを望む。
 一には則ち前代の敗事【はいじ】に鑑み、以て元亀【げんき】と為す。
 二には則ち善人を進用し、共に政道を成す。
 三には則ち群小を斥け棄て、讒言【ざんげん】を聴かず。
 吾れ能く之を守り、終に転ぜざるなり、と」
(巻第六 杜讒佞第二十三 第八章)

太宗は、「史官(歴史の編纂や文書の記録をする役人)が私のことを悪く書かないことを望む」と自分の気持ちを正直に告白しています。

太宗には「兄の皇太子を殺し、父を幽閉して実権を掌握した」という暗い過去があるため、太宗は自分は簒奪者(君主の地位を奪い取った人)であり、マイナスからスタートしているということを自覚していました。

ただでさえ周囲から偏見を持たれているのに、これ以上悪口を書かれたら、取り返しがつきません。だから、悪く書かれたくはなかったのです。

そして太宗は、悪く書かれないようにするために、3つのことを実践していると褚遂良に述べています。

①過去の皇帝の失敗から学ぶこと
②善良な人や行いの正しい人とともに、道義的に正しい道を歩むこと
③取るに足らない人たちは退けて、噓、告つげ口、悪口は聞かないこと
次ページ詳しく説明すると…
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