日本が「韓国文学」から受けたすさまじい衝撃

編集者たちが見る「ブームの背景」

韓国文学フェアの様子(写真:らくだ書店  本店)

井口:私も1990年頃からアメリカ文学を編集していたので、その頃の盛り上がりを思い出しました。

斎藤:ときどき「一時期の南米文学の勢いを思わせます」と言われるんだけど、南米ってすごく広いですからねえ……。面積比で考えると韓国文学の密度は半端ない。

坂上:韓国は隣で、南米は日本から見て真裏ですしね。いま出版界が厳しい中で新しい旋風ってなかなか起きないので、いい作品がこれまでの積み重ねもあったうえでこんなに多くの人に届くというのは、すごく明るいニュースだなと思います。

ヒットの原点は「話したくなる」本

斎藤:出版社合同の韓国文学フェアも最初、書肆侃侃房の営業の若い方が仕掛けて、すごく広がったんだよね。

坂上:去年が20店舗ほど、今年が130店舗ほど、と開催店舗が大幅に増えたと聞きました。普通、書店でのフェアの開催期間は1カ月程度で終わることが多いのですが、かなり長く置いていただいているところが多い印象です。

斎藤:このフェアもそうですし、複数の出版社で作家を招いてイベントを行う機会も多いし、韓国文学の周辺は、連携が非常によいのが特徴だと思います。韓国文学翻訳院やK-BOOK振興会のみなさんの仕事も目覚ましいし、韓国語のできる日本人編集者が韓日双方の相談ごとに乗っていたり、多様なレベルで立場を超えた連携、協力関係があります。

書肆侃侃房の営業の方が書店員さんに、キラキラした目で、他社の韓国文学の本を「めっちゃ面白いんです!」と熱く語ったりしていたのが合同フェアにつながったしね。

坂上:ヒットにはキラキラ目というか、「これ、面白いよ」と人に言いたくなるかどうかがとても重要だと思いました。『キム・ジヨン』はその最たるものだと思います。

次ページ『キム・ジヨン』を読むと自分の体験を語りたくなる
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