日本が「韓国文学」から受けたすさまじい衝撃 編集者たちが見る「ブームの背景」

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『文藝 2019年秋季号』

坂上:年明けに「『キム・ジヨン』がすごく売れているらしい」と編集部で話題にしていたんです。ちょうど『文藝』をリニューアルしようと画策していたところで、また編集部にファン・ジョンウンなどの韓国文学の単行本を企画していた編集者がいたことから、「韓国文学を特集しても面白いかもね」という話になり、1月に斎藤さんに相談しにいったのが最初でしたね。

斎藤:編集部の一員・竹花進さんとは、2016年に『こびとが打ち上げた小さなボール』(チョ・セヒ著/斎藤真理子訳/河出書房新社)でご一緒して以来コンスタントにご一緒してきた仲です。

韓国文学の企画は英米文学などと違い、エージェントや出版社が必ずしも情報を持っているわけではないので、企画当初から訳者に相談されることが多いですが、『キム・ジヨン』も「韓国・フェミニズム・日本」特集の『文藝』も、企画当初からかなりじっくり相談しましたね。

アメリカ文学ブーム以来の衝撃

斎藤:『キム・ジヨン』も『文藝』も部数が出たから書店で平積みになって、面の展開になるじゃないですか。面になれるものがいくつかあると、そのジャンルが目立つというのはありますよね。今、韓国文学のシリーズが晶文社、CUON、書肆侃侃房、亜紀書房、三一書房などから出版されていますが、シリーズも面で展開できるという意味で強いですね。

その点、CUONが2011年から「新しい韓国の文学」シリーズを粘り強く出し続けてこられたことはとても大きかったと思います。そうすることで棚が取れて、単発で出された本も一緒に動きますから。

井口:本当に、『キム・ジヨン』のヒットにはまずそのお陰でもあります。『キム・ジヨン』が売れたのは、それまでに韓国文学が面になっていて棚ができていたおかげで、今まで韓国文学を出してこられた出版社のお陰です。

坂上:書店に「韓国文学」の棚ができたというのはすごいことですよね。例えば1970年代後半からラテンアメリカ文学ブームだったり、1980年代後半からは村上春樹さんや柴田元幸さんがレイモンド・カーヴァーやポール・オースターなど、同時代アメリカ文学の新鋭を次々に紹介されて以降は、海外文学で特定の地域の文学を紹介するような大きいムーブメントはそこまでなかったような気がします。久々ですよね。

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