嫌な同僚のストレスは辞めても約2年残る衝撃 どうすれば後悔の少ない転職先を選べるのか

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Google社が「プロジェクト・アリストテレス」というリサーチチームを立ち上げ、従業員の働き方を最適化する方法を探し始めたのは2012年のこと。チームは社内の180の部署に広範なインタビューを行い、生産性が高いチームは何が違うのかを調べ上げました。

そこでわかった最終的な結論は、「最高のチームに必要なのは『心理的安全』だ」というものです。「心理的安全」はチームに対する信頼感のことで、ざっくり言えば「どんなにヒドい失敗や恥ずかしいミスをしても、この仲間ならバカにもされないし適切に助けてくれるだろう」と思える感覚を意味します。

心理的安全の重要性に比べれば、その他の要素はほとんど影響力を持ちません。いかにカリスマ的なリーダーがいようが、いかにチームメンバーの能力が高かろうが、心理的な安全性がもたらすメリットに比べればゼロに等しかったのです。

ソーシャルサポートの有無と死亡率の関係

Googleによるこの発見は、昔から「ソーシャルサポート」と呼ばれてきた論点です。職場の同僚との関係性が私たちの幸せに大きく関わることは1970年代からよく知られており、社内にいい友人がいない人ほど心疾患やがんにかかりやすい事実が確認されてきました。

参考までに2010年のメタ分析を見てみましょう。これは約30万人を対象に「ソーシャルサポートの有無と死亡率」を調べたもので、いい同僚や上司に恵まれない人は、そうでないグループと比べて平均50%ほど早く死亡する傾向がありました。

『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

その悪影響について、研究チームは「運動不足や喫煙よりも悪影響が大きい」と指摘しています。ソーシャルサポートがない職場にい続けるぐらいなら、毎日タバコを吸い続けるほうがまだマシだ、というわけです。

ソーシャルサポートが大事なのは、人類が社会的な動物として進化してきたからです。人類が進化した原始の環境では、仲のよい人に囲まれながら暮らさない限りは外敵に立ち向かえず、満足に食料を手に入れることもできませんでした。そんな環境で進化した結果、私たちは周囲に仲間がいないと本能的な危機感を覚えるようになったのです。

ソーシャルサポートの有無は外からの判断が難しいポイントではありますが、ひとまず次のポイントには注意してください。

● 社内での出世競争が激しすぎるような兆候はないか?
● マネジャーが従業員の成果にフィードバックを与えるシステムはできているか? フィードバックを管理職の自主性だけに任せていないか?
● 育児や出産休暇、健康維持のための補助金システムなど、社員に「困ったときは会社がどうにかする」というメッセージを発しているか?
● 社内でどのような交流イベントが行われているか?
鈴木 祐 サイエンスライター

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すずき ゆう / Yu Suzuki

1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。

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