「ケンタッキー食べ放題」が圧倒的人気呼ぶ理由 ケンタの利用は「クリスマスだけ」という実態

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このように、一般店舗では味わえない特別な体験ができるのが、KFCの大きな魅力だ。「ハレの日体験」による付加価値アップは、近年流行の戦略だ。しかし同社の真の狙いは別のところにある。

「2020年までの中期経営計画では、KFCの店舗をより日常的な存在にしていきたいと考えています。KFCレストランは、当社のこだわり商品、おもてなしをいろいろな形で体験していただき、お近くの店舗に足を運んでもらうきっかけづくりの場として位置づけています」(新井氏)

カーネル・サンダースの家でホームパーティーをしているイメージという店内(編集部撮影)

全国1130店舗を展開するKFCは、身近な存在であることと、その手軽さによって、もともと日常的な店舗のイメージがある。しかし実情は異なっていて、クリスマスを始めとしたハレの日需要が多いのだという。

「どうしても、ファミリーなど大勢で食べるイメージが強く、年に1〜2回という利用頻度の方が非常に多いんです。メイン層も40〜50代。日本に上陸して間もない頃、初めて食べたときの味が忘れられないということで、年配のお客様も多くいらっしゃいます」(新井氏)

KFCレストラン以外にも、若年層の開拓や個食需要喚起のため、ランチのワンコインボックスを2018年7月より始めている。

「オリジナルチキン推し」の戦略

もう1つ、KFCレストランに見て取れるのが、2018年より強化している「オリジナルチキン推し」の戦略だ。

身近に店舗があって、手軽に食べられるKFCを、「ファストフード」と認識している人がほとんどだろう。しかし少なくともオリジナルチキンに関してはファストフードとは反対で、店舗の厨房で、生の状態から粉づけ、フライまでを手作りしている。

素材にもKFCならではのこだわりが込められている。オリジナルチキンに使用されているチキンは、「中びな」と呼ばれる生後38日前後の若鶏。肉がやわらかく、臭みが少ないのが特徴だ。

中びなの採用は日本独自の工夫で、KFC登録飼育農場から特別に仕入れているもの。生後38日前後の若鶏の仕入れは、日本にKFCが上陸以来、長年の関係を築いているからこそ可能とのことで、ほかではなかなか食べることができない。3度来日しているカーネル・サンダースが「日本の味が1番、自分がつくったチキンに近い」と評したとも言われている。

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