「家族を想う時」が描くイギリスの底辺と分断 貧困はあの手この手で労働者から時間を奪う
『わたしは、ダニエル・ブレイク』のケン・ローチ監督が、前作と同じニューカッスルを舞台に、異なる視点からイギリス社会の底辺の現実を掘り下げる……。
以前コラムで取り上げた『わたしは、ダニエル・ブレイク』に続くケン・ローチ監督の新作『家族を想うとき』では、前作と同じニューカッスルを舞台に、異なる視点からイギリス社会の底辺の現実が掘り下げられる。
個人事業宅配ドライバーとパートタイム訪問介護士の妻
その物語は、宅配ドライバーとして独立することを決意したリッキーが、本部の責任者マロニーからオーナー制度の説明を受け、フランチャイズ契約を結ぶところから始まる。
彼は、本部の車を借りるより買った方が得だと判断するが、借金を抱えているため、パートタイムの訪問介護士として働く妻アビーが使っている車を手放して手付金を調達するしかなかった。
リッキーは、1日14時間週6日で、2年も働けばマイホームが手に入ると考えている。だが、夫婦が、16歳の息子セブと12歳の娘ライザと顔を合わせる時間は激減し、家庭内にトラブルが起こり、家族は次第に追い詰められていく。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事