「家族を想う時」が描くイギリスの底辺と分断 貧困はあの手この手で労働者から時間を奪う
ローチとブラッドワースは、そんな社会の底辺の現実を踏まえたうえで、似たような言葉で階級の関係を表現している。
ローチはインタビューで以下のように発言している。
「中産階級は仕事と生活のバランスについて語り、労働者階級は困窮し、立ち往生しています」(プレスより)
ブラッドワースは以下のように書いている。
「中流階級の生活を特徴づける『迅速さと効率』という概念は、多くの労働者階級の家庭には存在しない。貧困はあの手この手で労働者から時間を奪いとろうとする」
2人は、このように分断された世界がはたして持続可能なのかどうかを、観客や読者に問うている。
『家族を想うとき』予告編動画はこちら
大場正明/評論家
1957年神奈川県生まれ。中央大学法学部卒。「CDジャーナル」「宝島」「キネマ旬報」などに寄稿。「週刊朝日」の映画星取表を担当中。著書・編著書は『サバービアの憂鬱――アメリカン・ファミリーの光と影』(東京書籍)、『CineLesson15 アメリカ映画主義』(フィルムアート社)、『90年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)など。趣味は登山、温泉・霊場巡り、写真。
ホームページ/ブログは、“crisscross”、“楽土慢遊”、“Into the Wild 2.0”。
1957年神奈川県生まれ。中央大学法学部卒。「CDジャーナル」「宝島」「キネマ旬報」などに寄稿。「週刊朝日」の映画星取表を担当中。著書・編著書は『サバービアの憂鬱――アメリカン・ファミリーの光と影』(東京書籍)、『CineLesson15 アメリカ映画主義』(フィルムアート社)、『90年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)など。趣味は登山、温泉・霊場巡り、写真。
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