「家族を想う時」が描くイギリスの底辺と分断

貧困はあの手この手で労働者から時間を奪う

ローチとブラッドワースは、そんな社会の底辺の現実を踏まえたうえで、似たような言葉で階級の関係を表現している。

ローチはインタビューで以下のように発言している。

「中産階級は仕事と生活のバランスについて語り、労働者階級は困窮し、立ち往生しています」(プレスより)

ブラッドワースは以下のように書いている。

「中流階級の生活を特徴づける『迅速さと効率』という概念は、多くの労働者階級の家庭には存在しない。貧困はあの手この手で労働者から時間を奪いとろうとする」

2人は、このように分断された世界がはたして持続可能なのかどうかを、観客や読者に問うている。

『家族を想うとき』予告編動画はこちら

『家族を想うとき』12/13(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開(C)Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinema and The British Film Institute 2019(動画:映画配給会社ロングライド/YouTube)
 
大場正明/評論家
1957年神奈川県生まれ。中央大学法学部卒。「CDジャーナル」「宝島」「キネマ旬報」などに寄稿。「週刊朝日」の映画星取表を担当中。著書・編著書は『サバービアの憂鬱――アメリカン・ファミリーの光と影』(東京書籍)、『CineLesson15 アメリカ映画主義』(フィルムアート社)、『90年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)など。趣味は登山、温泉・霊場巡り、写真。
ホームページ/ブログは、“crisscross”“楽土慢遊”“Into the Wild 2.0”
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 就職四季報プラスワン
  • 森口将之の自動車デザイン考
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
  • 赤木智弘のゲーム一刀両断
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ストロング系チューハイの光と影
ストロング系チューハイの光と影
「電話嫌いの若者」が急に増えた意外すぎる理由
「電話嫌いの若者」が急に増えた意外すぎる理由
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「未来を知る」ための読書案内<br>ベストブック2021

先を見通せない日々が続きますが、本を開けばアフターコロナ時代のヒントがあふれています。本特集では、有識者や経営者、書店員らが推薦した200冊を掲載。推薦数の多い順にランキングしました。あなたにとっての珠玉の1冊を探してみてください。

東洋経済education×ICT