文化ごとに売れるものは違う
里見:小林さんと同じ意見ですね。われわれも過去、韓国や中国でやりましたが、人は集められても、支社では運用が全然できませんでした。その教訓を生かして、今回、「チェインクロニクル」は今、既にアジアからのアクセスと売上がすごいです。この間も「いつ韓国来るんですか?」といったインタビューを受けました。自社でもたぶん、人は集められると思うんですが、運用はできないと。
韓国は、ガチャ(ソーシャルゲームのアイテム課金方法)はまだ信用していないので、どんなガチャができるのかというガチャシミュレーターがブラウザ上にあるんです。ガチャをこうやって遊んで、こういうガチャが出るんだとわかってから初めて課金する。そんなの日本ではやらないですよね。そういったローカルの運用は、徹底したい。
日本のコンテンツが海外で受けるかで言うと、カジュアルな部分に関してはもうグローバルで差がないかなと思っています。「キャンディークラッシュ」も世界中で受けていますし、LINEのゲームも世界中で受け入れられていると思うんですね。
コアに行けば行くほど、各国で流行っているスポーツは違うと思います。欧米は強い人が好きなので、おじさんが主人公でないとダメだし、アジアは中高生の成長物語が好きなので、そういう作りにしたほうが受けます。そうした嗜好性に合わせることに、コアなゲームを作れば作るほど、注意しないといけないと思います。
小林:おっしゃるとおりだと思いますね。より原始的な快感を追求する類のゲームだと、割とユニバーサルに進められると思いますが、成熟化してくると何らかの文脈を前提としたゲームを作るようになります。例えば戦争をテーマにしたゲームは、日本人にあまり馴染みのあるエンターテインメントではありません。ギャングとかアメコミも同じだと思います。ピンと来ない、エンターテインメントです。
里見:戦争ゲームは、第二次世界大戦で勝った国しかやらないですよね。
小林:そうなんです。あの手のエンターテインメントを映画でもテレビでも何でも観続ける国の人と、そうでない人では、ずれが出てくるということはあると思います。
とくにゲームで悩ましいのはRPGだと思っていて、RPGは国ごとに想起するものが異なります。日本人には絶対に「スカイリム」は作れない。あのオープンワールドで何をしていいか30分も全然わからないようなゲームよりも、もっとルートが決まっているようなタイプのストーリーを作りこんだ類のもので、アニメーションがあるものを好むと思います。
文化ごとに自然と思うものに差が出てくる面が、一部の市場にはあると思っていまして、そういう分野には、なるべくネイティブの人材で対応しようと思っています。逆にこれはユニバーサル、この手のパズルの反応はみんな面白いのではないか、というものはユニバーサルで攻めていくという考え方をしています。
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