中国ではゲームのビジネスが日本と違う
小野:次に海外展開をどう進めるかについて伺います。海外については4社とも既に実績を持っていますけれども、日本で流行ったものがなかなか海外で流行らないという議論もあります。日本で作ったもの、もしくは日本で売れたものをどう世界に売っていくかについて聞かせてください。
辻本:ゲーム専用機の観点でいうと、他言語対応、7カ国語対応はもう当たり前です。
たとえば、2013年11月に発売したタイトルで言うと、「コールオブデューティー」「アサシンクリード」といった海外のゲームは、最初から日本語対応なんですね。欧米の会社にとって、他言語対応は当たり前になっています。日本にも、英語でなくて日本語でゲームをしたいというユーザーがいるので、「バイオハザード6」は後付けで日本語対応したという状況です。
スマートデバイスでも、海外のディベロッパーやパブリッシャーは、他言語対応が当たり前という状況になっているので、われわれもそうしないといけないと思っています。僕たちはまだグローバルに売れているタイトルがないので、そこまで手がまわっていませんが、将来的にはそうしないとダメだということです。
加えて、ゲーム専用機の場合、これからは、中国・タイ・韓国にも対応していかないといけません。最近、アジア市場ではゲーム専用機が売れているので、これから対応していくと社内決定しました。
小林:DeNAで特に重視しているのは、言語対応、運用をどう分けていくかということです。オンラインゲームでは、ディベロッパーとパブリッシャーと現地オペレーターとが分かれるのが一般的です。
実際、中国のメンバーで、名だたるプレーヤーからDeNAに入社したメンバーから話を聞いているとよく思うんですが、国ごとに同じゲームでも相当スタイルを変えているんですね。中国の場合、ビジネスもゲームも、ごく一部のハイエンド激烈金持ちの方が牽引しているんですよ。そういった方をどうエンターテインするために、人海戦術VIP戦法というのがあって、電話したりするんですよ。「今日はログインしないんですか?」「パーティ組む人がいなかったら一緒に組みますけど?」といったサービスまで提供しています。
日本で、僕もオンラインゲームをやっていましたが、そんなことは考えられません。総中流階級でやっている国と、一部のとびぬけた方々に依存するタイプのもので、全然思想が変わってきます。スマートフォンのゲームでもそういうスタイルは、明らかに差が出るはずです。
我々も過去に、日本流の運用だったのを、中国の現地流運用にした結果、すごく伸びたという経験があります。運用スタイルというのは、餅は餅屋的なものがある面ではあると思っています。実際、「拡散性ミリオンアーサー」(スクウェア・エニックスのスマートフォン向けオンラインカードバトルRPG)も、現地プレーヤーに任せて成功したという事例がありました。現地のオペレーションについて、ユーザーと付き合っていくところのノウハウから、実績を積んでいくことを各地で目指しているところです。