あるとき、テレビで元女子アナのタレントさんからインタビューを受けたときに、この話をしたら「うらやましい」と言われたんです。でも、彼女のボーイフレンドも彼女のことをおいしそうだから「まんじゅう」と呼んでいる、と。だから、自分の好きなものや何でも、それを呼び名にすればいいんです。
日本の女性からよく、日本の男性は「愛している」とか「好きだ」と言わない、という不満を聞くことがあります。私も実際、相手に「なんで言わないの?」と聞いたことがあって、「言わなくても当たり前だから」と言われました。なぜなら「愛している」のが大前提だから。これは確かに1つの愛の形。何でもハッキリ言えばいいというものでもありません。
例えば、私が大好きな小津安二郎監督の映画の中で、夫婦が天気について会話をしている場面があります。ここで2人は愛を語り合うわけではないけれど、2人の空気感から「愛している」という言葉が聞こえてくる。これこそまさに日本のエレガンス。とても美しい関係だと思います。
ちょっとしたサプライズが必要
実は、フランスでも「Je t'aime(愛している)」なんてストレートには、滅多に言いませんよ。アメリカのドラマなんかを見ていると、夫婦や恋人同士が「いってらっしゃい。I love you」なんて言い合っているけれど、フランスではよほどのシチュエーションではない限り「愛している」なんて言わない。それくらい重い言葉なのです。
そのかわり、日常では2人だけにしかわからないあだ名で呼び合ったり、褒めたりしながら愛情表現をしているわけです。
サプライズとまでは言わないまでも、ちょっとしたプレゼントはうれしいモノ。例えば花とか。日本はどこへ行っても小さいお花屋さんがあるのに、どうしてもっと恋人やパートナーにサプライズであげないのか。レストランや友人の家で食事するときとか、フランスだけでなく、ヨーロッパの男性はよくやっていますよ。大きな花束である必要はありません。
確かに周りの視線が気になるというのはあると思います。以前、日本人男性とジャズクラブに行ったときに、男性が大きなバッグをもってやってきた。中には大きな花束が入っていました。そして、ライブが終わって、2人で歩いているときにくれたのです。とても驚いたし、うれしかった。だから、人目が気になる、という人は2人きりになったときに渡せばいいのです。
何でもない日に夕食を作る、というのもサプライズの1つ。フランスでは、キャンドルをつけたり、お花を飾って音楽を流したり、と凝る人もいますが、そこまでする必要はありません。料理だってフルコースを作るのではなく、ちょっとしたものでいいのです。
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