「金のなる木」よりも「問題児」に投資すべき理由 年末年始に復習しておきたいビジネスの鉄則
老舗劇場の人気が衰えないワケ
多くの企業が経営資源を効率的にマネジメントしてイノベーションを生み出そうとしてきました。そして、組織の中でイノベーションをマネジメントする際に重要になってきたものがポートフォリオです。
なぜ、ポートフォリオがイノベーションにとって大切なのでしょう。劇場の例で考えてみましょう。ロンドンのイズリントンにサドラーズウェルズという劇場があります。イズリントンは、今ではすっかりおしゃれでポッシュ感のあるエリアですが、少し入るとロンドンの公営住宅があったり、いろいろな階層な人が住んでいるところです。
サドラーズウェルズ劇場の歴史は古く、17世紀にまでさかのぼります。そこから、再建や移転を経て、現在、ロンドンで新しい芸術作品を生み出す中心的な劇場の1つです。伝統的な劇場から、新しい作品を生み出すというのはなかなか珍しいのですが、なぜ、サドラーズウェルズはそれができているのでしょう。その秘密が、ポートフォリオなのです。
定番の演目だけを繰り返し上演していては、お客はそのうち飽きてしまいます。長期的に劇場に多くの人に足を運んでもらうために、サドラーズウェルズでは、オペラやコンテンポラリー・ダンスなどでかなり実験的な演目もやっています。カンフーものもあります。もちろん、実験的ですから、失敗するものもあります。むしろ失敗のほうが多いぐらいです。
しかし、実験ですから、失敗は成功への必要な試行錯誤のステップと受け止められます。その中から、ヒット作が生まれてくればいいという考えなので、実験的作品については収益性を脇に置き、とにかく「新しさ」と「数を打つ」ことが大切とされます。その一方で、定番の作品ではしっかりと稼ぐことが重要です。実験的な試みをバックアップする収益性が、求められるわけです。
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